ユートピアの設計 

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日本でもアメリカでも大体の人々は、食べ物に困っていないです。そして多くの人々は住居に困ってもいません。世界中を見渡せば、必ずしもそのような境遇にない人達がいることは確かです。

しかしながら、私達の社会は、食べ物が豊富です。そのうえ、作り方や、食べ方などをいろいろ工夫して、本当にアーティスティクになっています。

住居を見ても同じことがいえます。ただ屋根と壁があって住む空間を作っているだけでなく、住みやすさと便利さをたくさん盛り込んでいます。

食物と住居は、人間にとって、最も基本的な欲求であります。その最低限の条件を確保することによって、安全に存続していけるようになります。この部分だけに、焦点を置きますと、私たちの豊富な衣食住はユートピアに住んでいるかのようです。

でも、それだけでは私たちは幸せになりません。回りを見渡せば、犯罪もあり、争い、虐待、ハラスメント、いじめ等、私たちを不幸にする事柄がたくさんあります。幸せになるには、私たちの次のレベルの欲求、すなわち社会的満足感がないと成り立ちません。

社会的満足感とは、人間関係において、安全に感じ、人から認められ、その中で自尊心を保てていき、さらに精神的成長の土台があるということです。そのような条件が存在する環境を作ることはできないのでしょうか。つまり、衣食住だけでなく、社会的に満足のできるユートピアとは、いかにして可能になるのでしょう。

このユートピアでは、人間関係が健康でなければなりません。すなわち、人々がお互いに尊敬をし、相手の立場を尊重しながらやり取りをし、お互いの話をよく聞き、自ら正直であることを、勤めていかなければなりません。

それと同時に、相手を故意に傷つけることを避け、罰を与えたり、仕返しをしたりすることを止めなければなりません。

そのような人間関係を、作っていくための出発点は、やはり子供の教育から始まると思います。でも、通常の学科を教えることではなくて、精神的成長を促す学校が、必要になるでしょう。

そこでは子供が、道徳や倫理を学んだり、人間関係の話を聞いたり、知能面の代わりに、感情面の発達の話を聞いたりします。その他に、結婚生活の科学とか、子育ての科学とか、仕事の倫理とか、老後生活の科学とかを学ぶのもよいでしょう。実際の体験をするために、子供が社会のいろいろな面に、実習生として出て行くのも、面白そうです。

知能をのばし、精神面ものばす教育システムを作りあげるには、それなりの法律の設定が必要になるでしょう。その法律は、現存する教育システムと同じように、精神面においての学習と実習の義務的年数を定めます。

それに加えて、将来の精神学の先生や、社会でその分野においてのリーダーや研究者を育成していくために、今の大学に匹敵するような教育の場が、必要になってくると思われます。人間関係や感情面の勉強をしていく教育の場ですから、単にその分野の知識を得るだけの教育でなく、実際の経験を重視しながら、自分の成長を研究していくプロセスを促す、教育体験の場となっていったらよいでしょう。

もう一つ関連する法律を設置することで大切なことは、日常の人間関係のやり取りの最低限の基準を作ることです。それによって、すでに違法行為である、傷害、虐待、ハラスメント等を抑制するだけでなく、人間関係のあり方の水準をやや上げ、私たちの安全感や自尊心を保ちやすい環境を作ることができるようにしたらよいと思います。

はたして、このようなユートピアを作ることはできるのでしょうか。それはもちろん不可能です。ユートピアという言葉自体、想像された理想の社会ということです。そして、それが私にとって心理的にいかに理屈が合うからといって、社会がそのように動くはずがありません。今までにも、いろいろな人がユートピアを考えだしましたが、それが実現したという歴史は一つもありません。

しかしながら、誰かの文句を言ったら、チケットをきられたなんていう社会を想像するだけで、面白いです。

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