精神障害と体の病気との違い

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精神的問題と体の病気とは、どのように違い、どこが同じなのでしょう。一般的な考えとしては、体の病気は具体的で、心の病気は抽象的であると言うことかもれません。けが等は明らかに目に見えるものが多いですし、病気は痛みや体の不調で病気の状態を知ることができます。でも、心の問題は直ちに痛みを感じることもなく、明らかに体が不調だと言うようなこともありません。それは一般的に言う悩みという形で出てきます。悩みは悩みで病気とは違うと見えてしまうでしょう。

でも、もう少し考えてみますと、体の病気は痛みや不調だけではないことに気が付きます。そこには精神的負担も含まれていることがよくあります。例えば、かぜをひきますと、頭痛や体のだるさ等を感じられます。でもその他にやる気も出ませんし、集中力や記憶力も下がります。そういう時には気分も落ちますし、気持ちの表現もなくなってしまいます。細かいことや、創造的なことは考えられなくなってしまいます。口数も減ります。知能力も下がるでしょう。よい睡眠はとれませんし、寝てもへんな夢を見るかもしれません。これは正にうつ病とそっくりです。かぜをひいただけで軽いうつ病にかかったような精神状態にもなるわけです。

では、反対にうつ病や不安症等の精神障害になったらどうでしょうか。落ち込み、心配、いらいら、不眠等が経験されますが、体もだるくなりますし、体力は低下し、頭痛、胃痛、便秘や下痢等を経験する人も少なくありません。不安症は高血圧や心臓病に至ることもあります。すなわち、精神障害は精神的症状に留まらず、さまざまな体の症状として現れるわけです。

こうして見ますと、体の病気であろうが、精神的な病気であろうが、症状は体にも精神にも両方に現れ、2種類の病気の区別が薄れてくるかのように感じます。その上、精神障害が長い間続きますと、実際の体の病気に発展することはよくあることです。また、重い体の病気をした人が実際のうつ病にかかってしまうことも不思議ではありません。

体と心は親密な関係があります。体の状態は心に現れ、心の状態は体に現れます。ある病気をしますと、それがいっぺんに体と心に症状として現れます。体と心は正に一体です。一つのものが違った形で表現されただけです。病気はその一つのものがよく機能しなくなった時に起きています。そしてそれが体を通して表現されたり、精神面を通して表現されたりします。人間の機能の面から見ますと、いずれの種類の病気も機能が衰えるというところで共通しています。

軽いかぜをひいたらホーム治療で治すでしょう。でも、かぜがこじれて一週間とか二週間とか続きますと医者に相談に行きます。それと同じく、軽い心の悩みは自分で解決するでしょう。でも、それが難しい問題で、一週間とか二週間とか続いた時には、心理カウンセラーに相談しても決しておかしくないと思えます。何の病気であれ、毎日の機能低下には違いがありません。そこでは、体も心も区別はないのです。

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