不眠症

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一般的に言われている不眠症とは、臨床分野では睡眠障害の一つとして扱われています。不眠症とは、寝付くのに長時間を要したり、寝ている時にちょくちょく目が覚めてしまったり、朝早く目が覚めてしまったりすることを言います。不眠症がそれだけの問題として起きることもありますし、他の病気、例えばうつ病や不安症の症状の一つであるときもあります。

不眠はただ翌日眠いと言うだけでなく、他のさまざまな問題につながります。例えば、集中力の低下、記憶力の低下、知能の働きの鈍り、気力の低下、落ち込み気分、感情の鈍り等、心理的に結構影響があります。すなわち、毎日の簡単な仕事、いつもの繰り返しの仕事などには少々の不眠は影響をしませんが、新しい適応を求められる活動だとか、工夫や創造性が必要な仕事などには、不眠の影響が現れます。また、非常に短時間の睡眠しか取れなかった日は、体の病気に対する抵抗も半減すると言われています。そのような時に、風邪をひいてしまったり、他の病気の発病のきっかけになったりするかもしれません。単なる不眠として片付けられなくなってしまいますね。

さて、不眠症の治療には大きく分けて2つあります。一つは薬物療法、もう一つはサイコセラピーです。睡眠薬の使用は、急性的ストレスで不眠が起こり、それに対して速い措置をとりたい時には便利です。でも、不眠が慢性になってしまった時の、長期間の睡眠薬の使用はよくありません。これは睡眠薬に依存性があり、長期間使うとそれを止めるのに困難になるためです。また、耐性といって同じ効果を出すために薬の量を増やしていかなければならないという性質もあります。ですから、睡眠薬はそのときだけのストレス関係の不眠で短期間の効果を狙っているときだけには有効ですが、長期の不眠の長期の治療には適していません。また、不眠が他の病気から来ているときにはその病気の方を治療するほうが睡眠薬をとることよりも大切です。

不眠に適したサイコセラピーはいくつかあります。心配を減らすmental relaxationや体の緊張を を減らすmuscle relaxationは一つの方法です。また、刺激コントロール(stimulus control)、

睡眠制限(sleep restriction)、認知療法(cognitive therapy)などの方法があります。

私の好きな不眠対応策は、毎晩床に入る時刻と毎朝起床する時刻を決めてそれを守るということです。例えば、夜12時に床に入り朝7時に起きる。その間最初のころは、寝ようが寝まいが横になっていなければなりません。眠れなくても7時になったら起きます。そして、眠くても昼寝をしません。夜12時まで待って床に入ります。これを繰り返しますと、体が、そして心がリズムに慣れまして、1〜3週間くらいで不眠が治ります。

睡眠薬と比べますと、サイコセラピーはやり始めてすぐ効き目がありません。サイコセラピーを始めたその日に不眠がとれないかもしれません。でも、続けているうちにだんだん効果が現れます。慢性化された不眠でも対応できますし、睡眠薬と違って、治療を止めた後も効果が続きます。睡眠薬の場合、使用を止めたときに不眠が戻ることが多くあります。サイコセラピーはトレーニングの結果自分で得たものですから、治療終了後も効果が続くと言うわけです。

不眠治療の話で面白いのも読んだことがあります。ある国の王子が不眠で悩んでいました。そして、有名なセラピストに治療を依頼しました。セラピストは事情をよく理解した末、ある治療法を考えました。王子のベッドのわきに座って一晩中静かに本を読んだのです。王子は母に守られたかのように安心して寝ることができました。セラピストは何日も同じことを繰り返しました。そのうちに、王子はセラピストなしでも眠ることができるようになったのです。

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