ひきこもり

hikikomori.gif新年早々ひきこもりのお話で恐縮ではありますが、この時期は寒くて外に出るのも大変で、ひきこもりがちになります。もちろん今回のフォーカスは、出不精のことではありません。何らかの理由で外出ができなくなってしまった状態のことです。厚生労働省によりますと、中学卒業後の人で6ヶ月以上自宅や自室にとどまっている状態をそうよぶのだそうです。

心理的にはいろいろな理由があると思いますが、一つ顕著な現象について考えてみたいと思います。それは、ひきこもりが長く続けば続くほど、その人の外の世界について感じることが固まってきます。そしてその外の世界ですが、それが怖く思いえてくるのです。他の人達が自分を責めるかのように思えたり、迫害するかのように感じるのです。たまには、そのような認識に反応して怒りを覚えたりすることもあります。会ってもない人たちに対して、怒ったり批判的になったりするわけです。でも、最終的には他人に対して恐怖や不安が多く、そのために向かって対面することができません。

私の臨床経験から生まれてきたもので、たいへん簡単で便利な原理があります。それは、「人とコンタクトを取れると対人恐怖が減り、人とコンタクトを取らない(取れない)と対人恐怖が増える。」ということです。その延長としては、人とコンタクトを取ると、好意がわいてくるということもあります。

この「コンタクト」ということが肝心で、ただ話したり、会ったり、付き合ったりすることではないのです。もちろん人とやり取りをするわけですが、お互いに通じ合えないとコンタクトになりません。通じ合うと言うことは、理解し合えたり、賛成したり、同感したり、分かち合えたりすることです。英語で、being on the same wavelength 波長が合ったといった感じです。

内向的な人はこの事について実験することもできます。家に引きこもって、他人とのコンタクトを止め、何日か続けてください。そうすると、次第に対人恐怖が出てきて、外出するのがいやになってきます。外向的な人は、そもそも家にとどまることが難しいので、実験にはならないでしょう。

経験や実感の分野をさて置いて、この原理について、精神分析的に解釈をすることも可能です。例えば、赤ちゃんがお腹を空かしてお母さんのおっぱいを探します。お母さんは赤ちゃんの状態を理解し、母乳をあげます。赤ちゃんは満足して幸せになります。赤ちゃんと母親は波長が合っているということで、コンタクトが取れたということになります。

ところが、お腹を空かしている赤ちゃんが泣いてもお母さんが現れないとどうなるでしょう。赤ちゃんはフラストを感じるだけでなく、怒ったり不安を感じたりして、泣き叫びます。これがもっと続きますと、生死に関わるとして、本能が働くのでしょうか、赤ちゃんはパニックになります。実は、パニック障害の起源がここにあるのではないかとも思います。

子供が大きくなるにつれて、母親とおっぱいを通してのコンタクトは卒業します。その後はスキンシップや感情的なやり取りを通してコンタクトを取るようになります。しかしながら基本的原理はいつまでも同じで、コンタクトによって不安が減り、それ無しでは不安が増えて、対人関係のあり方に影響をしていきます。

引きこもりを治すには、波長の合ったよいコンタクトが必要です。その上、このコンタクトは引きこもりを治すのに有効なだけでなく、他の問題、すなわちパニック障害、不安症、うつ病、対人恐怖などにも役立ちます。

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