おすすめ本&映画の最近のブログ記事

「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」 (坪田信貴:著)

面白くて1晩で読みきってしまいました。涙あり笑いあり、とても軽い乗りで書かれているのに深い子育て論あり、教育論あり、人間関係、親子関係まで考えさせられる本でした。

高校2年生で教科書の聖徳太子を見て 「この女の子、超かわいそうじゃね?」 「だって、この子、きっと超デブだったから、こんな名前をつけられたんだよ。『せいとく たこ』 なんて・・・」と言ったり、日本地図を描けと言われれば大きなひとつの円を描いていた学力は全国の最下部2%、小学4年程度の学力という金髪ギャルが、塾の先生(筆者)に導かれながら、精神的にも成長し、最後には壊れかけた家庭もひとつになっていく実話です。(お父さんとお母さんの教育方針の全くの違いも家庭不和の原因でした。)

さやかちゃんという子の頑張りもすごいのですが、やはり名選手の後ろに必ず名コーチありで、人生の絶妙なタイミングで素晴らしいMentor(よき指導者)に出会えることの大切さ幸運さついてもつくづくと考えさせられました。

おととし、キンドルを購入してから、再び、ずいぶん本を読むようになりました。日本語の本は、まだまだキンドル化が遅れていて、それほど豊富でないのが残念ですが、最近読んで面白かった本をいくつか紹介します。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
アルフレッド・アドラーの名前は知っていましたが、彼がフロイト、ユングと並ぶ心理学の三大巨頭だとは知りませんでした。

フロイトが、現在の行動心理を幼い時の経験やトラウマと結びつけるのとは正反対に、多くの人は現在の悩みを、経験や環境のせいにして立ち止まってしまっているが、それは立ち止まるための言い訳を自分に与えてしまっているのに過ぎない。

人生を過去から未来につながら一本の線と思うと、今現在に幸福感を感じる
ことが難しくなる。現在の努力は未来のゴールのためにあると思ってしまうと未来しか見えない。現在のこの苦労は過去の経験や環境のせいだと思ってしまうと、過去しか見えない。

旅の目的地があったとしても、その目的地まで飛行機で1時間でついてしまう方法もあるかもしれないが、旅そのものを楽しむために鈍行列車でその旅の瞬間瞬間を楽しむことが今を生きることであり、「人生は(一本の線ではなく)刹那の連続」である。

などなど、哲学者と青年(できの良い長男と比べられながら育ち、強い劣等感を持ち、現在は図書館司書という平凡なパッとしない人物)の会話という形式で、非常にわかりやすく、アドラー心理学を説明しています。

嫌われる勇気という題名は、ちょっとミスリーディングかと思います。人間関係の悩み、生きがいとは、幸せとはを改めて考えさせてくれます。

Light on Life 
今年亡くなったYOGAの大家アイアンガーの教えの集大成。YOGAをしない人にもお勧めな、知恵がたくさん盛り込まれています。

賢人の教えというのは、共通点が多いもので、上記のアドラー心理学につながる数々の教えがあります。

"Memmory is useless if it brings about a repetition of the past that impedes the process of out evolution. "

"By sorting out wanted from unwanted memory, we allow new experiences to surface."

などなど。日本語訳版は「アイアンガー 心のヨガ―人生に光を灯すためにだと思います。

白蓮れんれん  林真理子
NHKの朝ドラ「花子とアン」で注目を集めた大正時代の歌人白蓮の波乱万丈の人生の物語。白蓮と駆け落ちをして結ばれる年下の恋人宮崎龍介との間に交わされた実際の手紙も数多く引用されています。林真理子さんは、女性ならではの、あるあるな意地悪や嫉妬目線で小説を書くのが上手だといつも思います。日本からアメリカに戻る飛行機の中で一気読みしたのですが、長い飛行時間が短く感じられました。

ゼロ 堀江 貴文

一世風靡したホリエモンと呼ばれた人。彼が自身の人生を振り返って今、何を思うのかを知りたくて、ちょっと覗き見趣味的な気持ちから読んでみました。半年前くらいに読んだので、すでにあまり記憶にないのですが、なかなか面白かったです。


 

映画レ・ミゼラブル

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kakumei.jpgいま、映画レ・ミゼラブルを見終わったのですが、久々に感動の涙を流しました。最近のハリウッド映画は、カーチェース、暴力シーン、必要以上の性的描写が多く食傷気味だったのですが、レ・ミゼラブルは豪華絢爛なハリウッド映画と本場NYのミュージカルの醍醐味を見事に合体させた素晴らしいできだと思いました。

ミュージカルの方は数年前に見て、それはそれで感動したのですが、その時に把握しきれなかった各登場人物の心の動きが映画の方が、ずっとよく理解でき(ミュージカルも映画も構成や歌はほとんど同じなのですが、多分それぞれの俳優の表情がアップにされることと、ヒュージャックマンを始めとする俳優女優陣の演技と歌のうまさ、映画ならではの作り込んだリアリティーのある場面のために感情移入がしやすいからかもしれません。)

唯一、難を言うなら、最後まで執拗にジャンバルジャンを追い詰めるジャベール役のラッセル・クローが、全くはまり役ではなかったことと、彼の演技が今一つだったことです。

P.S.革命家の俳優さんが可愛かった!(写真)。

20歳の頃から、ほぼ同じ体重をずっと保って来ていたのですが、おととし去年にかけて、なぜか急に約4キロ太ってしまいました。4キロと言ったら大したことがないように思えるのですが、年齢のせいもあるのか(疑問形ではなく、確実にそうでしょう(^^; )鏡に映る自分の姿は、どうひいき目に見ても急激にオバさん化。お腹周り、背中あたりのダブつきで、今まで似合っていた服がどれも似合わない!洋服を買いに行っても、何も似合わない!

それでもアメリカにいる分には、周りと比較しての相対性理論?で無理に痩せなくても、ま、いいやと思える範囲だったのですが、半年前に日本に里帰りした時、そもそも成田に降り立った途端に、なぜかそれだけで自分が10キロは一挙に太って思える周りの人々の細さ。そして極め付けは父、そして兄からの二連発の現実を突きつける言葉、「腹出た?」

それで、よっしゃ元に戻すぞと心に決め試したのが、この本。元々コアマッスルの弱さを自覚していたこともあるし、三木さんと同じように腰痛持ちだし、これは私に合ってるかも?と思い半信半疑で初めて見ました。2週間がんばって続けてみたところ、確実にお腹が凹み腰回り背中回りがスッキリ!(2分のロングブレス体操を一日5~6回やるだけです。たとえばキッチンでお湯を沸かしている間、お野菜が茹で上がるまでの3分。車の信号待ちの間、と気づいた時にやりました。)

自分ではコアマッスルが強くなった自覚はなかったのですが、ある日、ヨガの幾つかのポーズをしていて、今まで苦労していたポーズが突然、あれ?とても簡単にできる!と感じ、しっかりコアマッスルは鍛えられていたようで、嬉しい副産物でした。

この時点で、かなり気合が入り、あと二つのことを付け加えて実践したところ、効果があったので紹介しますね。。

一つは「ためしてガッテン」で見た、食事はお野菜から始める!でした。なんでも、いきなり糖質やたんぱく質を摂ってしまうと血糖値が急上昇して、それがお肌の大切なコラーゲンを糖化させ、ひいては老化させてしまうのだそうです。ですが最初に食物繊維を摂れば、血糖値の上昇はゆるやかになり、コラーゲンの老化を防げるということでした。

そこで朝食は毎朝、トーストと卵と紅茶なのですが、その前にセロリを一本食べることにしました。他のお野菜も試したのですが、私にはセロリ一本というのが一番手軽で毎日実践できることだったからです。今では、こどもを学校に送り出してから、セロリ一本を手にメールのチェックが日課になりました。

あとは、しばらく夜は炭水化物を抜いて、お野菜と肉や魚のみにしました。その代わり結構、それでお腹いっぱいに食べます。

すると、面白いように体重は減り、元の体重に戻り、それ以上体重が減ったわけではないのに、体が引き締まりました。

ただダイエットというのは、一人の人に効くものが万人に共通して効くわけではなく、体質によって、その人に合ったダイエットというのがあるそうなので、私には効果があったということでご紹介させていただきました。

永遠のゼロ

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半年前に友達に、「最後は号泣するよ。」ともらった本です。結構ぶ厚いので、時間ができた時に一気に読もうと思いつつ、そのまま置いておいたのですが、今回の10日間におよぶ停電で、PCが長時間使えない状態が続いたので、まさしく本を読むしか何もすることがない秋の夜長。ランプの灯りの下で一晩で読破しました。

生きる目的を見つけられない青年が、名前しか知らない第二次世界大戦の終戦直前に特攻隊として散った祖父について調べている内に、段々と形をなしていく祖父の人物像とその短い最後の数年間の生き様。祖父に関わり少なからぬ影響を受けた人たちの過酷な戦争体験とその後の人生。最後にはすべての点と線がつながり、凄惨極まる環境の中、妻のため、そして、まだ顔も見たことのない子のために必死に生きようとした祖父の存在が鮮明に蘇り、青年の生き方にも大きな影響を与えて行きます。

第二次世界大戦の史実に基づきながら、次々と謎が解けて行くちょっと推理小説のような展開もあり一瞬も飽きさせません。多くの若者を捨石のごとく死に追いやった大本営の精神性が現代の日本の政治家にもそのまま引き継がれていることに驚きました。(この本は震災前に書かれていますが、筆者は、まるで震災後の政府の対応を知っていたかのようです。)

私は今年の春、日本に帰国した際に、初めて靖国神社を訪れ、そこに併設されている遊就館を見学しました。広い1階の展示場の大きな壁という壁に、びっしりと戦死者の写真が貼られていて圧倒されます。近づいて見ると、どの顔もまだ幼さが残る10代~20代で、どうしても自分の息子たちとも重なり胸を締めつけられます。

まだ訪れたことのない方には是非、この本を読んでから訪れることをお薦めいたします。

本は既に映画化が決まっているそうですが、できれば主演俳優の名前を調べずに読んだ方がいいかと思います。先に主演俳優を知ってしまうと、どうしても本を読みながらも、その人のイメージが頭から離れず、自分なりのイメージを作る楽しみがなくなると思います。

ikegami.jpg日本に帰った際に父の書棚からもらってきた本です。タイトルに惹かれたのではなく、池上彰に惹かれて手に取りました。

旧約聖書、新約聖書、仏教、キリスト教、イスラム教、シーア派とスンニ派の違いなどを面白くわかりやすく解説するとともに著名な宗教家や宗教研究者とのインタービューを通して日本人の宗教観を掘り下げるとともに、震災後の日本と日本人のあり方を考える旬な本でもあります。

この手の本は、読んでいる途中で、何度もうたたねしてしまって、なかなか読み終えられず、途中でギブアップか、なんとか欠伸を噛み殺しながら読み終わっても数日後には何も頭に残っていないことが多いのですが、さすが池上彰さん!まるでNHKの子どもニュースを見るように、とても明解で飽きさせることがなく、最初から最後まで「へー、なるほどねー」と思いながら楽しみながら読むことができました。


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年に1度日本に里帰りする度に会う友人が、別れ際に必ず一冊の本を手渡してくれます。毎年、なかなか面白い本をくれるのですが今年もらったのが「人生がときめく片づけの魔法」という本。片づけが大嫌い、大の苦手の私めですが、帰りの飛行機の中で読み終えアメリカの地を踏んだ時には、ヨッシャ!家に帰ったら片付けるぞ!という気持ちになっていました。

子供の頃から寝てもさめても片付けのことしか頭になかったこの本の作者が、ついに行き着いた片付けの極意が「そのものを手にした時に、ときめくか、ときめかないか」で捨てるか捨てないかを決めること。

たとえば、いつかまたこんなファッションがはやるかもしれないと思っている10数年前に大枚をはたいて買ったワンピースや、いつか、20代の時の体型に戻って、はけるかもしれないと思っているスキニージーンズなどなど、ひとつずつ手に取ってみて、心がときめくかときめかないかを感じるのです。どんなに、ある時に気に入っていたものでも、もし、今手に取ってときめかなかったら、今、たとえ流行が再来して、もしくは痩せて着れるようになったとしても、ときめかない服を着たいですか?そんな服を着ても自分が輝きますか?答えはNO.つまり、その洋服のお役目は済んだのです。ということで、思い切って捨てろ・・・と。

なるほど、そのとおり!と言うこおで、先週、気合を入れて片付け始めました。それで積みあがった洋服の山。山。山。全部ごみ袋に入れたら8袋ありました。(全部寄付としてリサイクルしました。)

勢いづいて、昨日は机の引き出し周りの書類や本や紙の山を一気に片付けました。

机周りの片付け方は、著者によると、説明書など何年も取っておいても絶対読みません。捨てましょう。「なんとなくで取ってある小物は捨てましょう」「書類は全捨てが基本で問題なし!」と太鼓判を教えているので、その言葉に洗脳されるままに安心して、電子辞書、美容器具、もう手元にすらないビデオレコーダーの説明書やら、何もかも、がんがん捨てました。

かつてないほどに、机の上も回りも引き出しの中もスッキリきれいになったのです

が・・・・`早くも今日になって、カメラを使おうと思ったら、ある機能の使い方が、どうやってもわからない!ネットで検索してもわからない。説明書・・あ~~!!全部捨てちゃったじゃないのー。どうしてくれる!

という失敗もあるので気をつけて欲しいですが、お薦めな本です。

夫にこの本のことを話したら、「夫に関しても、触れてみて、ときめくか?ときめかないか?で捨てるか捨てないか決めたりして・・・」と言うので、含みのある微笑で返しておきました。確かに、それだけで決めたら夫は既にリサイクル・ビン行きかも・・・と。



トイレのおともに?

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dictionary.jpg英語って実にさまざまなイディオムがありますよね。でも、この年になると机に向かってカリカリと英語イディオムをひたすら覚えるなんて忍耐がないので、トイレに置いているのがこの本。(読んでいる姿を想像しないでくださいね。)

たとえばLiveの付くイディオムのページをちょっとご紹介すると・・・

 

live and learn= to increase one's knowledge by experience.

 

live and let live=not to interfere with other people's business ore preferences.  Ex. Your parents are strict.   Mine just live and let live.

live in an ivory tower= to be aloof from the realities of living.

Live off the fat of the land= to grow one's own food:. to live on stored-up resources.

live it up=to have an exciting time. Ex. Come on! Have fun! Live it up!

live something down= to overcome the shame or embarrassment of something.  Ex. Max will never be able to live down what happened at the party last night.

などなど毎日お目にかかるイディオムじゃありませんが、聞けば意味はわかるけれど、自分からはささっと使えないなーと思うものから、これは聞いたことがない!知らなかった、覚えておこう!と思って、たまたま、同じ日にテレビのアナウンサーが使っているのを聞いて、実は結構使われているイディオムなのに、完全に今までは耳にとまらず聞き流していたことを発見して、そうかー、こうやって使うのかーと新たな学びにうれしく思ったりすることもあります。

447ページもの中に挿絵も何もなしでイディオムがビッシリつまってますので、全部学ぶまでには一生かかるかもしれませんが、毎日のトイレのおともですから、それもいいかと・・・。

挿絵はないですが、例文が常に2つくらい載っていて、その例文が非常によくできていて、わかりやすく学びやすいです。 

感動の犬NUBS

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既にあちこちのテレビ局で放送している感動ストーリーなので、ご覧になった方も多いと思います。

イラクに派兵されていたアメリカ海兵隊少将ブライアン氏に野良犬の群れの中から一匹の犬が近づいてきます。その犬は耳が短く切られて二つのコブのように見えたのでブライアン氏はNubs(こぶ)と名付けてかわいがります。 

やがてブライアン氏に、75マイル(120数キロ)ほど離れたヨルダンの国境近くへの移動命令が出ます。軍の規則では犬を飼ったり祖国に連れ帰ってはいけないという規則があったため、ブライアン氏はNubsと別れを告げます。

別れの日、Nubsはブライアン氏の乗った軍用車を追いかけ続けたものの、やがて視界の中から消えて行きました。

ところが数日後、ブラン氏は表に自分の目を疑うような光景を目にします。そこには、傷つき疲れ果てながらも、ブライアン氏を見つけて喜びながら飛び跳ねるNubsの姿があったのです。

75マイルというと大体120キロで東京から静岡くらいの距離になります。それも砂漠です。一体Nubsがどうやって、その距離を歩いてブライアン氏のいる場所まで辿り着いたのか・・・。

現在、ブライアン氏とNubsはサンディエゴで暮らしています。

Nubsの話は絵本にまでなりました。 

 

Visit msnbc.com for breaking news, world news, and news about the economy

gandhi.jpg鑑賞後、今こそ多くの人に見て欲しいと思った1982年に公開された映画です。当時、話題作として私も見たのですが、あの頃は、平和とか人種差別とか宗教対立とかに全く無頓着だったので、長くて退屈してしまったことしか覚えていません。

でも、最近SweetHeartのトップページでガンジーの日替わり名言を掲載していて、その言葉の一つ一つに真理があると敬服の念が募って来ていたので、改めてガンジーの人生に興味を抱き、映画を取り寄せて見てみたのでした。

今回は長いなどとは全く感じず、最初から最後まで彼の人生の軌跡に感動しました。普通1980年代あたりの映画を見ると、なんとなく古臭い、テンポが微妙に違う、という感を否めないのですが、この映画に関しては、全くそんな印象はありませんでした。

イギリスの支配下のインドで超エリートの家庭で生まれ育ち弁護士となった若きガンジーが、南アフリカで電車の一等車への乗車拒否にあったことをきっかけに人権問題に目覚め、さらに「非暴力」の思想を確立、それを自らの命を賭けて徹底実践してインドを独立に導くまでを描いています。

一等車への乗車拒否をされた出来事が1893年と言われていますが、つまり今から100年も前に、ガンジーは人種差別という屈辱を体験し、人権問題に目覚めたということも、すごいと思います。

アメリカのアラバマ州で一人の黒人女性ローザ・バークスがバスで白人に席を譲るのを拒否して逮捕され、それに対してマーティンルーサーキング牧師が抗議運動を起こすのが1955年ですから、その60年以上も前にガンジーは静かな戦いを始めたことになります。(キング牧師はガンジーに啓蒙されて非暴力主義を提唱。)

世界では今も、経済大国の人々による弱小国の人々への搾取、人種差別、そして宗教争い(ヒンズー教Vs.イスラム教)と、100年経っても形を変えて同じ問題が存在し続けています。残念ながら多くの映画は娯楽消費物として、話題性を失い、ほんの一部のものを除いては完全忘れられてしまいます。「ガンジー」もそんな忘れられてしまった映画の一つだと思いますが、今また是非とも多くの人に見て欲しい映画だと思います。

ガンジーの名言

●I like your Christ, I do not like your Christians. Your Christians are so unlike your Christ.

●Poverty is the worst form of violence.

●Each one has to find his peace from within. And peace to be real must be unaffected by outside circumstances.

●Strength does not come from physical capacity. It comes from an indomitable will.

●A 'No' uttered from the deepest conviction is better than a 'Yes' merely uttered to please, or worse, to avoid trouble.

●Nearly everything you do is of no importance, but it is important that you do it.

 ●Satisfaction lies in the effort, not in the attainment, full effort is full victory. 

ヴェニスに死す

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先日、友人達と感動した映画の話をしていた時、友人の一人が忘れられない作品の一つとして挙げていた映画です。私も「ヴェニスに死す」というタイトルの美しさからか、名前だけは知っていましたが、映画は初めて見てみました。

1911年。世界各地の富裕層が避暑に訪れるヴェニス。そこに静養に来ていた老作曲家が、ポーランドから訪れていた美しい少年タジオに理想の美を見出し心を奪われてしまいます。そんな中、ヴェニスではコレラが大流行を始めます。老作家は早くヴェニスを去らねばと焦燥感を感じながらも、タジオへの思いに決意が鈍ります。最後には髪を染め化粧をほどこしタジオの姿を求めて町をさまよいながら自らもコレラに感染してしまい、毛染めも化粧も流れ落ちた姿で美しい海辺で戯れるタジオの姿を見つめながら息絶えます。・・・と荒筋だけ書くと、かなり悲惨な話です。

とにかく老作曲家が心奪われる少年タジオが芸術的に美しく、それとは対照的に、毛染めや化粧が流れ落ちた姿で一人死んで行く老人の姿が、なんとも対照的です。

少年タジオを演じのはビョルン・アンドレセン。友人が、とにかく美少年!と強調してはいましたが、映画を見て、私も、冷たさを秘めた気品のある美しさに圧倒されてしまいました。映画の中では、青年になる直前の少年のはかなく美しい一瞬の時を見事に切り取って観賞用の美術作品のような美しさで見せてくれます。

 

これを眺めながら、「ヴェルサイユの薔薇」の中のオスカルみたい!と思ったのですが、Wikipediaで調べたところ、彼はこの映画の後、日本に長期滞在しながら日本のCMにもいくつか出て日本の美少年文化、特に少女コミックの世界に影響を与えたと書いてありました。

この記述を読んで「なるほど!!そうだったのか!!」と、なんだか謎解きができたような嬉しい気持ちになりました。昔、読んだ「ポーの一族」「風と木の詩」「ヴェルサイユの薔薇」を初めとする危うい香りのする同性愛的美少年の世界は、ここに原点があったのか!と。そして、それは現在、日本のテレビ界を席巻しているジャニーズにまでつながっているのかもしれません。

以前、書いた「日出処の天子」(山岸涼子)の世界も正にビョルン・アンドレセエンのイメージとバッチリ重なります。
http://www.sweetnet.com/shnikki/2006/11/post-67.html

それにしても、「ヴェニスに死す」・・・なんと美しい邦題でしょう。"Death in Venice"が英語タイトルですが、これは「ヴェニスで死ぬ」とか「ヴェニスでの死」としたら、映画のイメージ自体が全く変わってしまっていたと思います。たった一つの助詞、たった一つの動詞の変化形で全体のイメージさえ変えてしまう・・日本語の美だなーと思ってしまいました。

勝負脳を鍛える

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以前にも書きましたが、私がよくIpodに落として車の移動中などに聞いているPodcastにサイエンストークと言う番組があります。(WindowMediaでも聞けます。)

今日、聞いた林成之さん  (日本大学大学院教授、救急医学、脳の生命科学) の『「勝負脳」を鍛えよう』が、とても面白かったです。 

林さんは、サッカー日本代表のオシム前監督の命を救った「脳低温療法」の開発者として世界的な評価を受けている方で、最近では「脳の仕組みを解明して、知能や才能を十分に発揮しよう」と脳の研究を進めています。

北京オリンピックの日本競泳陣に「勝つための脳=勝負脳」について講義し、北島選手を金メダルに導いているそうです。

話の中には幾つも興味深い話が出てきましたが、一つだけご要約して紹介します。

「赤ちゃんは生後3ヶ月で目に見えるようになります。その時から目に入った情報を元に脳が考えることを始めます。赤ちゃんが最初に見るのはお母さんで、赤ちゃんにとってはお母さんは他我ではなく自我の一部なのです。

お母さんを喜ばせる=自分がうれしい。つまりお母さんを好きになることから考える仕組みが始まります。つまり好きになることから考えることが始まるのです。嫌いな先生の科目が伸びないのもそのせいです。」

http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/

試聴する Ipodのない方でもダウンロードしてWindows Mediaで聞くことができます。

ワルキューレ--トムクルーズ主演

warukyu.jpgトップページに載せているガンジーのQuote

A small body of determined spirits fired by an unquenchable faith in their mission can alter the course of history.

この言葉を読んで、おとといDVDで見たトム・クルーズ主演の「Valkyrie ワルキューレ」が、思い浮かびました。

トムクルーズが演じるのは、悪夢へと突き進むヒットラーの独裁政権下で、たとえ国を裏切ることになっても、たとえ家族(妊娠中の妻と5人の子供たち)の命を危険にさらしても、信じる正義を実行するために、自らの手でヒットラーを暗殺しようとした陸軍大佐Claus von Stauffenbergです。

私も初めて知ったのですが、鉄の結束を誇るドイツ軍の中に、かなり組織だってクーデターを試みた人達がいたということは他の国の多くの人にあまり知られていない事実だと思います。

史実で既に明らかなように、暗殺の試みは失敗に終わったわけですが、見終わって何よりも、トムクルーズ演じる陸軍大佐の勇気に思いを馳せました。

たとえば今の北朝鮮で政権転覆を企てることを考えると、現在に置き換えてその勇気が伝わってきます。失敗すれば、自分だけではなく、愛する妻、幼い子ども達、母、父ともども死刑または強制収容所送りは確実美な情況下で自分の信じるところ"Faith"を原動力に、粛々と暗殺計画を実行に移していくその勇気は想像を絶します。

正に

A small body of determined spirits fired by an unquenchable faith in their mission can alter the course of history.

という信念を感じます。

クリスチャンである夫の解釈はこうです。(ちなみにStauffenberg大佐はクリスチャンであり、冒頭のシーンで首にかけた十字架がクローズアップされるので、映画のメッセージもこの部分にかなりこめられていると思います。)「キリスト教では神が自分の一番大切な息子を捧げるよね。Stauffenberg大佐のFaithも、そこにあるんじゃないかな。」と。

なるほど・・・そのような見方をすると、さらにこの映画は深く見ることができると思います。

こちらには実際のStauffenberg大佐や家族の写真が豊富に掲載されています。

http://www.topfoto.co.uk/gallery/valkyrie/ppages/ppage57.html

 

下記リンクは生き残ることができたStauffenberg大佐の長男(当時9歳)による、その後の家族に何が起こったに関する記事で大変興味深かったです。

 http://www.historynet.com/claus-von-stauffenberg-the-man-who-tried-to-kill-hitler.htm

 

この映画がドイツでどのように評価されるのかはわかりませんが、極悪非道、人間味のない悪役ナチス・ドイツとして描かれることの多いハリウッド映画で、このような史実があったということにも光が当てられたことは画期的なことでは、と思います。

ドイツに長くお住まいの方、ドイツ人と結婚なさっている方、よろしかったらご意見をお聞かせください。

最後に「トムクルーズの演技力は、さすが」と思いました。

 OBトーク インターナショナルスクール入門

櫛田健児著

現在は、まだお子さんが就学前だけれども将来インターも視野に入れて進路を考えている人にとっては、期待を裏切らない有用な入門書だと思います。

著者は老舗インター(30年ほど前には既に存在していたインターのことを通称"老舗インター"と呼ぶそうです)の卒業生であり著者の母親(アメリカ人)も長年老舗インターの教育者であるために、老舗インターの教育内容や教師の選考方法、運営の仕組み、内部事情にいたるまで非常に詳しく解説されています。(実際に入学するための審査基準、面接方法や審査基準などのハウトゥーを教える本ではありません。)

一方、現在、開校ラッシュが続くインターナショナル・プリスクールや新設インター(過去20年ほどの間に新設されたインターの通称)については、個々が独立されて運営されているため、不透明でわかりにくい部分が多いとしながらも、教育機関として、しっかりと基盤の確立している老舗インターと比較しつつ新設インターの中から学校を選ぶための様々な判断材料や注意点(教師の選考方法、学校の資金、学費、進学、経営、国際認定組織の落とし穴、、外国人生徒が多いから安心の落とし穴、外国人教師の落とし穴など)が提示されています。

著者紹介:1978年生まれ。高校卒業まで調布のアメリカンスクール・イン・ジャパンへ通い、スタンフォード大学で経済学、東アジア研究、国際関係専攻、同大学院で東アジア研究の修士号を取得。情報通信産業の政治経済分析や、日本の政治経済システムにおける外資系企業の影響を研究する傍ら、バイリンガルやバイカルチャーについて興味を持ち、著書には「バイカルチャーについて興味を持ち、著書には「バイカルチャーと日本人」がある。現在は、カリフォルニア大学バークレー(UC Berkeley)で政治学部博士課程在学、バークレー国際経済研究所(BRIE)の研究員を務める。

この本は著者の第二弾となります。以前書いた第一弾の書評も掲載しておきます。

 

 
バイカルチャーと日本人―英語力プラスαを探る

櫛田 健児著

SweetHeartの「バイリンガル教育掲示板」にも時々顔を出してくれる"インター卒生"(ハンドルネーム)さんの著書。

日本人の父、アメリカ人の母を持ち、学生~ビジネスの世界を通して2言語、2文化に精通した著者が、豊富な実例をあげながら大変わかりやすく言語力とバイカルチャー(社会への適応力、対応力)の関係を解き明かしています。

日本のインターに関する卒業生ならではの考察は、これからインターに子どもを入れようと考えている方の参考になるでしょう。

また、子どもに英語を見につけさせたいと考えている方には、副題にあるとおり「英語力 プラス α」の外国人と同じ土俵でコミュニケーションを取るために語学力と同等に大切な「α」の部分とは何なのかを教えててくれます。

mamm.jpg日本では、今公開になっている映画のようですが、アメリカでは既にDVDになっているので、私はDVDで視聴しました。

マンマ・ミーアはマンハッタンに入る途中の高速脇のビルボードに広告が長年かかっているのでロングランのミュージカルということは知っていたのですが、今まで全然興味はありませんでした。でも映画は私の好きな俳優ピアス・ブロスナン(前ジェームズ・ボンド)主演ということで思わず借りてしまいました。

話の舞台はエーゲ島でアメリカ人ドナが経営するの小さなホテル。ドナ(メリル・ストリープ)が女で一つで育てた娘のソフィーは結婚式を控え、自分の父親かもしれない3人(そのひとりがピアス・ブロスナン)を島に招待します。

アバ(ABBA)の昔の数々のヒット曲を織り交ぜながら、ストーリーが進行していきます。アバの歌というのも私はあまり知らなかったのですが、少なくとも何度かは耳にしたことのある曲や歌詞が、ストーリーにとてもよく溶け込んでいて、全く古さを感じさせず軽快なテンポにドンドン引き込まれてしまいます。

舞台となった島と海も素晴らしく美しいです。もうひとりの主演のメリル・ストリープが今年60歳とは、とても思えないほど若々しくはじけて歌って踊ってセクシーで魅力的。(最初、間違えて50歳と書いてしまっていましたが、コメントの方で訂正していただき60歳と気づきました。60歳でこの色気、初々しさ!さらにビックリです。)彼女は、地味でひねくれた老女の役から、今回の役のような、陽気で可愛く爽やかな色気のある役まで、実になんでもこなせる素晴らしい女優さんだと改めて感心してしまいました。

mamm2.jpg対するピアス・ブロスナンも、期待どおり。ボンド役を降りてからも、全く衰えていない肉体美に丹精な顔立ちにうっとり。

 そんな「中高年の星」なんて呼ぶのも失礼な美しい熟年男女の恋と平行して、ギリシャの神々も嫉妬するほど美しい若者たちの恋も織り交ぜられストーリーは進んで行きます。イギリスでは2008年「タイタニック」をしのぎ、史上最高のヒット作品となったとのことですが、それもうなずける娯楽映画です。

NHKスペシャルでやっていた「女と男ー惹かれあう二人、すれ違う二人」が、とても面白かったので、要約してみます(要約と言っても長いですが)。

まず恋愛を脳科学の見地から解き明かします。激しく恋をしている男女の脳を調べると男女ともに同じ場所が活発に活動していました(恋愛中枢)。それは正に人に喜びや快感を感じされる神経伝達物質ドーパミンが作られる場所でした。

反対に恋愛中の男女の脳で、活動が低くなる場所もありました。それは物事を否定的に捉えたり、否定的な判断を行う場所です。「恋は盲目」と言うのも恋愛中は相手への批判能力が抑制されるからだったのです。

ところが、恋する男女の脳で活発に活動している部分に違う場所もありました。


男性の場合は視覚を司るエリアでした。世界各地で男性に好ましいと思う女性の体型を選んでもらったところ、世界共通で腰のくびれ(ウェストとヒップの比率)が7対10の体型が好まれました。その比率は女性が出産適齢期になると近づく体型の比率でした。何百年もの人類進化の過程で男性は、健康な赤ちゃんを産んでくれる女性かどうかを自分の目で見極めることが重要だったからだと考えられます。

女性の場合、活発になるエリアは記憶を司るエリアでした。人間は直立2足歩行を始めた結果、骨盤の形が変化し産道を大きくできないという制約が生じる一方、脳の発達とともに頭が大きくなったため、赤ん坊を未熟な状態で産まざるをえなくなりました。女性は、つきっきりで未熟な状態の赤ちゃんの世話をする間、男性には食料などを運んでもらったりするため最低3年は傍にいてもらう必要があり、それには男性がどれだけ頼りになるかを言葉で見分けなければならなかったために男性が発した言葉や行動などを記憶し、それを頼りに男性を見分けるようになったからと考えらています。(だから女性は男性の甘い言葉に弱いのかもしれません。)

哺乳類の中で、つがいで子育てをするのは3%しかいませんが、人間は、子育てをするために恋愛システムを進化させていったのだと考えられます。

しかし、、恋の中枢が活発に活動し、ドパーミンに脳があふれるのは長くて18ヶ月から3年という研究結果があります。それは人間の赤ちゃんが、とりあえず未熟な状態を脱するのが3年、狩猟採集社会では出産の間隔が4年ということを鑑みると、恋はこの間だけでも保たれるように進化したのかもしれないと考えられます。

先日、結婚掲示板で話題に上がった本 "The Seven Principles For Making Marriage Work"  「愛する二人別れる二人―結婚生活を成功させる七つの原則 」 (※ハンドルネーム・エッフェルさんが紹介してくださっていました。末尾にエッフェルさんの紹介文を転載しておきます。)。実は私も、もう何年も前に買って持ってはいたのですが、最初の10ページあたりで放り出していました。でも、結婚掲示板で話題になったのをきっかけに、また読もうかと地下室の本棚から出してきていたのですが、折りしも、この本の作者ジョン・ゴッドマン博士が、番組の中に登場して、とてもタイムリーでした。


ゴッドマン博士は、長年、夫婦関係の研究に取り組み、夫婦の会話をモニターし分析することで85%の確立で、その夫婦が近い将来離婚するか否かをあてることができるようになったというのです。

番組では実験ボランティアとして登場した危機を迎えている夫婦を追います。博士が別室でモニターを通して観察する前で、敢えて、夫婦はいつも喧嘩に発展する話題について会話を始めます。夫婦の指にはそれぞれ心拍数を計る機器も取り付けられています。

会話の出だしを見ただけで博士は、この二人の会話は口げんかに発展すると予測しました。そして実際に予測どおりになりました。

まず夫が妻のクレジットカードの多額の支払いについて批判的なものの言い方をします。(クレジットカードの支払いが来る度に、その多額に驚かされる。過去何度か君の多額のクレジットカードの支払いや税金の支払いを僕があわてて全部払ったよね。I don't wanna surprise like that.ウンヌン。)すると妻の顔は、即座に硬直し防御体制(自分の立場を守る体制)になります。あとは、お互いに批判、防御を繰り返した後、やがて夫が妻を見下した言い方をします。「クレジットカードをリボリング払いしないようにと言うことは誰でも知っている当たり前のことだよ。全ての専門家に聞いてごらん。」(誰もが知っている常識なのに妻だけが無知だと見下している。)

博士によると話し合いが泥沼化するコミュニケーションパターンとは、「批判、防御・・(批判、防御の繰り返し)・・・・、繰り返しの果てに見下し発言、不毛な口げんかへ発展」だそうです。(上記夫婦の場合、もし、会話の最初に夫が批判的な言い方でなく、「月末に多額の支払いが来るのではないかと不安に思っているんだ。」というように、気持ちを批判の形でなく告げるだけであったら、会話の展開は違っていたと言います。)

このような会話パターンが繰り返されると夫婦は、やがて、お互いを避けるようになり離婚へ発展する、正に典型的パターンそうです。

心拍数を見てみると、二人の心拍数は会話を始める前は70前後ですが夫の心拍数は会話が進むとともに100を越え大きなストレスを示します。ところが、妻の心拍数はほとんど変わりません。

これは進化の段階で、男性は狩猟などで刻一刻と変わる環境の中、危険にさらされる機会が多いため、警戒心を維持し、危険に俊敏に対応できるために、心拍数や血圧がが上がり、いつでも攻撃態勢に入れるように発達していったため、一方、女性は母乳を与え、子どもを育てるためのホルモンの関係で気持ちを落ち着かせる能力が高いためと考えられています。

会話において、男性は批判を攻撃と受け止めるため、心拍数が上がるのです。

この夫婦の会話は、最終的に夫が、心拍数が105あたりを越え、狩で言うと戦闘モードに入ろうする心拍数に達すると同時に、「これ以上、話ても仕方ない。」とカメラに手で合図をして会話を一方的に打ち切ります。このような行動も非常に典型的な男性の行動パターンです。会話を一方的に打ち切る85%は男性。男性は、心拍数の限界に達してしまうと、衝突を回避しようとするからです。

進化で獲得した、このような男女の特徴が、現代社会の夫婦においては、夫婦の亀裂を生む原因になってしまっているというわけです。

このパターン、正に、私と夫の会話パターンにも当てはまります。見ていて深く深く納得してしまいました。夫は正に狩猟型・原人的性格、非常時にこそ、大活躍できるタイプの人間です。多くの人がフリーズしてしまう場面でも、すばやく対応できる人だと思います。元々は、そんな力強い部分、リーダシップのある「男の中の男」的な部分に惚れたわけですが、そのような狩猟型・原人的性格は、夫婦の日常の平和なコミュニケーションにとっては、障害だったわけです。

男女関係の障害となることが二つあります。 
○男性が女性の気持ちを読み違えててしまう
○会話に対する男の女の違いー男性は解決する問題がないときは夫婦の会話に積極的でない

女性と男性のコミュニケーションの仕方の差も人類の進化に由来すると考えられています。女性は共同での採取生活や子育てなどの中で部族の他の仲間との会話を通して絆を深めることが大切だったため、他人の表情を読む能力がより進化しましたが、男性は、狩などで刻々と変わる情況に対応し、問題を解決するために会話は使われてきたました。実際に研究結果から男性は相手の表情から気持ちを読む能力に劣っていることがわかってます。

博士によると、このような夫婦の悪循環会話パターンを変え、平穏な結婚生活を長く続けていくには、男性側が、女性のニーズを察知する努力をしてコミュニケーションの仕方を変えるのが一番だとゴッドマン博士は提言しています。番組の最後の方では、夫婦が専門家の下で会話の方法を学ぶ姿が映し出されます。夫婦二人が向き合って模擬会話を進める内に、妻の話に対して、すぐに分析したり批判したりしようとする夫にカウンセラーが注意を促していました。

結婚生活の入門書だと私が思う "MEN ARE FROM MARS,WOMEN ARE FROM VENUS"  「ベスト・パ-トナ-になるために--分かち愛の心理学」を書いたジョン・グレイ氏も、同様に、そもそも男性と女性の思考回路が違うことを指摘していました。

私と夫も、結婚して数年目に危機が訪れた時に、友人に薦められてこの本を読み、講演会のビデオまで見て随分と学びました。最も、役に立ったのがReportとRapport(ラポア)という言葉でした。簡単に言うと、男性が話す時はReport=報告するためや、問題があるなら解決するために、何か目的をもって会話をしようとする。でも女性は、Rapport=調和のために、つまり感情的につながるために会話をしようとする、ということです。

たとえば、それまで、私は夫が私の話を聞いているのかいないのか相槌をあまり打たないこと、私が話していると、すぐに"What is your point?"「会話の要点は何?」と話の腰を折って聞いたり、"What do you want me to do?"と怒ったように言ったりすること、夫にただ話しに耳を傾け同調して欲しいだけなのに、すぐに解決策を示そうとしたりすることなどに不満に思っていました。でも、そのような夫の会話パターンが実は典型的な男性の行動なのだと、この本を読んでわかり、いちいち夫の反応に失望しないようになりました。

夫は夫で、私がなぜ余り要点を得ない話をするのか、解決策を示しているのに妻はなぜ不満気なのか、などを理解でき、ただ私の話に耳を傾け、適当な場所で相槌を打つことを学びました。


それから何年も経った今でも、私が夫に話しかけると、たまに夫は「君はReportしたいの?Rapportしたいの?」と聞いてきます。そしてRapportだと私が言うと(いちいち聞かなくても大抵の場合Rapportなのですけど)、解決策を話したくてウズウズする気持ちを抑えて、黙って耳を傾けるようにする時があります。

何かの雑誌に、一番うまく行く男女の組み合わせは、「女性のような男性と女性らしい女性」、一番うまく行かないのが「男性らしい男性と、男性っぽい女性」とありました。命がけで狩をすることのない現代社会においては、何百万年もかけて培かってきた男性的能力は、無用の長物とは言わないまでも、近代の特に平和な社会での男女関係には、大きな障害になっているようです。

実に男と女は難しいです。

また、"The Seven Principles For Making Marriage Work"を読んでから本の感想など書きたいと思います。
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結婚を後悔した時に読むお勧めの本 by エッフェル
(SweetHeart「結婚生活なんでも掲示板」の書き込みから・・・エッフェルさん、勝手ながらこちらにも引用させていただきます。)

後悔したときに、やり直すために努力しようと思うから本をお読みになるのですね。私も同じです。とある本に出会って、希望の光を見出しましたが、現実はまだ茨の道です!でも読んでみてよかったと思うので、図書館か本屋で探してみてください。和訳もあります。

The Seven Principles for Making Marriage Work: A Practical Guide from the Country's Foremost Relationship Expert (Hardcover)
by John Gottman (Author), Nan Silver (Author)

愛する二人別れる二人―結婚生活を成功させる七つの原則
ジョン・M. ゴットマン (著), ナン シルバー (著)

ちなみにこの本は、イラクに駐留しているアメリカ兵向けのマリッジカウンセリングにも使われているそうです。リンク先がメインテナンスでダウンしているみたいなので、うろ覚え詳細を書くと。。。

現在イラクに駐留しているアメリカ兵は配偶者との関係が上手くいかなくてカウンセリングを受けている。離婚率は七割近かったと思います。そして離婚やその手続き中に欝になり自殺する兵士もいる。カウンセリングを担当しているチャプレンが、この本を導入したところ希望者が続々と増えている。そのためほんの寄付を募って、この本をイラクに送っているそうです。アメリカにいる配偶者にも同じ本を同時に読み勧めてもらい、課題などを一緒に(別々ですが)取り組んでカウンセリングに役立てているそうです。

効果のほどは数に出ていないので分かりませんが、それだけ多くの兵士が結婚の危機に直面しているということです。(戦争についてはそれぞれ異なる意見があると思いますが、こういう例もあるということでご紹介しています。)

この本は一度読んでおしまいではなく、時々引っ張り出して来ては読み返すのが良いですよ。私も頻繁にお世話になっています。この本が必要ないカップルが羨ましいと思います(笑)

我が家は嫌がる夫に対して無理やり朗読していましたが、夫もそれなりに情報を拾って役立てています。皆さんからもっと情報が寄せられて、良い本に巡りあえると良いですね。

michi.jpg橋をかける―子供時代の読書の思い出

皇后美智子さまの1998年インドのニューデリーで行われた国際児童図書評議会基調講演の内容を収録した本です。


第二次世界大戦中、疎開先にお父様が持ってきてくれた数少ない本から多くのことを学んだ美智子様の大変率直なご意見が語られています。美智子様というと、なにやら大変遠い存在のような気がしていましたが、大変思慮深い一人の女の子だった美智子様の様子や、一人の読み聞かせをされる母親としてのありようが、すんなりと伝わってきました。

特に、スピーチの最後の言葉は美智子様の人柄を写すようで印象的でしたので、その部分のみ引用します。

「自分とは比較にならぬ多くの苦しみ、悲しみを経ている子供達の存在を思いますと、私は、自分の恵まれ、保護されていた子供時代に、なお悲しみはあったと言うことを控えるべきかもしれません。

しかしどのような生にも悲しみはあり、一人一人の子供の涙には、それなりの重さがあります。私が、自分の小さな悲しみの中で、本の中に喜びを見出せたことは恩恵でした。本の中で人生の悲しみを知ることは、自分の人生に幾ばくかの厚みを加え、他者への思いを深めますが、本の中で、過去現在の作家の創作の源となった喜びに触れることは、読む者に生きる喜びを与え、失意の時に生きようとする希望を取り戻させ、再び飛躍する翼をととのえさせます。

悲しみの多いこの世を子供が行き続けるためには、悲しみに耐える心が養われると共に、喜びを敏感に感じとる心、又、喜びに向かって伸びようとする心が養われることが大切だと思います。」

随分前になりますが、プリンストンに滞在中の大江健三郎氏が日本語学校に講演に来てくださったことがありました。その講演の中で、戦時中、鬼畜米兵という言葉を鵜呑みにする息子のために、母親が自分の着物を売って、当時は大変入手が困難だった敵国アメリカの本「ハックルベリーの冒険」をバスなどを乗り継いで数日かかって手に入れてくださったという話をしていました。その本を読んで大江さんはアメリカ人も同じ人間だということを悟ったということですが、子供時代の読書の意味は実に大きいものだと美智子様の本を読んで改めて思いました。

「橋をかける」は日本語と英語で収録されてあります。また講演の中で美智子様が触れた本の目録も網羅してあります。 

昨日の読売新聞に短いながら大変感動的な話が載っていました。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081207-OYT1T00499.htm

第二世界大戦中、インドネシア沖で撃沈されて漂流中に日本軍の駆逐艦「雷(いかづち)」に救われた元英国海軍乗組員422人の内の一人、サムエル・フォール卿(Sir. Sam Falle)が、長年、恩人である「雷」の艦長工藤俊作氏を探し続け、89歳にして、ようやくその墓前で手を合わせたという話です。

1942年、フォール氏が乗った英軍艦は撃沈され、乗員422人が重油にまみれながら20時間以上漂流。生存の限界に達していたとき、ようやく現れた船の影。一時は歓喜したものの、船が近づくにつれ、それが日本軍のものとわかり、機銃掃射され最後を迎えると一旦は覚悟を決めます。日本人は冷酷無比と思われていたからです。ところが、船には救助活動中の国際信号旗が掲げられました。艦長工藤俊作氏の「救助せよ」、との英断でした。

船に泳ぎ着いたものの力尽きて沈む者も続出。雷の乗組員は自ら海に飛び込み、救助にあたり、全員を救助。重油でまみれた英兵達の体をふき、衣服や暖かい食事を与えました。フォール氏は、この幸運を信じられる何度も自分の手をつねってみたそうです。

また、救助地帯は激戦区であったにも関わらず、終日、漂流している人を探しまわり最後の一人まで救い、翌日、英兵全員はオランダの救助船に引き渡されたました。

フォール卿は、後にスェーデン大使などとして活躍し、その間も、工藤氏への恩を決して忘れることなく探し続けます。2003年、84歳の時に心臓病を患いながらも自ら日本を訪れますが、消息は知れず。ところが、その後、救助の秘話を知った作家惠 隆之介氏たちの尽力によって、ようやく消息がわかり、89歳という高齢にもかかわらず再度日本の土を踏み、1979年77歳で亡くなっていた工藤氏のお墓参りを果たしたということです。

工藤氏の消息が、なかなか掴めなかったのは、工藤氏が生前、奥さんを含め周囲の誰にも一言も戦争中の体験を語らず、ひっそりと余生を過ごしたためだったそうです。

アンビリバボーというタケシの番組で2007年に紹介された時の動画。感動します。

http://f.flvmaker.com/mc.php?id=bBrFdfgR2olEKcM8_4XfDOR8jt7q4yj1p4Fo.D_ATHLWL_bOqEQGqpg7tI/zcZk/JpXPN9bhkiagRRlehCk0_ti6

 

ミュージカル南太平洋

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minamitaihei.jpgミュージカル、サウス・バシフィック(南太平洋)を見て来ました。

第二次世界大戦中、日本軍と対戦しているアメリカ兵士たちが駐留する南太平洋の島が舞台なので、ジャップという言葉が何度か聞かれますが、ストーリーは基本的に、人種に対する偏見を乗り越えるラブストーリなので、全く気にはなりません。

むしろ、1949年、まだ公民権運動(1950年代)も起こっていない時代、有色人種は白人と公然と分離されていた時代、2008年に初の黒人大統領が生まれるなどとは誰も夢にさえ思わなかった時代に書かれたミュージカルであるということを考えると、かなり当時としては先進的かつ先見の目を持った物語だと感じます。

ーーーーー
南太平洋の美しい小島。従軍看護婦のネリーは、島のフランス人農場主エミールと恋に落ちます。エミールの妻は現地のポリネしア娘で二人の子供を残して5年前に亡くなっています。

若くてハンサムなケーブル中尉が、激戦区に潜入し日本艦隊の居場所を的確に把握するという自殺行為的な密命を帯びて島に赴任し、そこで島の娘と恋に落ちます。

従軍看護婦ネリーは、フランス人農場主エミールがかつて有色人種と結婚していたという事実を知った時、彼女の心の中の人種偏見が邪魔をして、エミールの求婚を拒絶してしまいます。そしてケーブル中尉も、人種偏見から現地娘との結婚に躊躇します。

ネリーは、この偏見は生まれつきのものであり、どうしようもできないと言うのですが、ケーブル中尉は、「偏見は生まれつきのものではない」と言って歌う曲が"You've Got to Be Carefully Taught" です。非常に短く、他の数々の有名な挿入歌に比べたら、あまり重視されていない曲ですが、最も深い歌詞だと思いました。

You've got to be taught to hate and fear
You've got to be taught from year to year
It's got to be drummed in your dear little ear
You've got to be carefully taught

You've got to be taught to be afraid
Of people whose eyes are oddly made
And people whose skin is a different shade
You've got to be carefully taught

You've got to be taught before it's too late
Before you are six, or seven, or eight
To hate all the people your relatives hate
You've got to be carefully taught!
You've got to be carefully taught!

調べてみたら、やはりこの歌には、製作者の並々ならぬ思いがこめられていることがわかりました。

当時、この歌は適切ではない、異人種間結婚を正当化しアメリカ人のライフスタイルを脅かすもの、共産党のプロパガンダ、とまで言われ激しい批判の対象になったそうですが、このミュージカルの製作者はこの曲を省くのなら、上演自体を取りやめる、たとえこの歌のためにショーが失敗に終わったとしてもこの歌を挿入する、この歌こそが、このショーの意味である、と断固主張し、この歌は残されたということです。

好きな人の前の奥さんが有色人種だというだけで、大きなショックを受け、結婚を躊躇うなんて・・・と思いますが、当時の人種偏見がどんなに根深いものであったかがうかがわれます。

ミュージカルのストーリーに話を戻すと、後半、ケーブル中尉は、生きて帰れたら現地娘と結婚し、島に残ることを心に誓い、任務遂行のため激戦区へと向かいます。ネリーは、自分の非を悟り、エミールの家へ行きますが、既にエミールはケーブルの任務を助けるために、ケーブルとともに激戦区へと向かった後でした。

やがてケーブルの戦死が伝えられ、エミールの消息は知れず・・・・。ネリーはエミールの家で残された二人の子の世話をしながらエミールの帰りを待ちます。そして・・・


ーーーーー
欲を言えば、中尉ケーブルと現地娘が出会ってから愛し合うまでが、ほんの10秒位だったので、もうちょっと深くその過程を描いて欲しかったと思います。(多分、原作ではもっと詳しく描かれているのかもしれません。原作者は、「サヨナラ」を書いたJames A. Michener)でも、当時のミュージカルとしては、やはり白人の目を通して人種偏見問題を扱うのがやっとだったのだと思います。

ケーブル役の俳優さんがカワイイし、セクシーだしナイス・ボディーです。(シャツを脱ぎ捨てるシーンが最高!)もっと彼を長く見たかった!!

 

愛は傷つけない

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愛は傷つけない−−DV・モラハラ・熟年離婚・自立に向けてのガイドブック  著者ノーラ・コーリ 梨の木舎

あなたがあたらしく生きるために・・・・・・無力さからぬけだし、第一歩を踏み出そうとする女性たちへ、女性との関係を変えたいと思いはじめた男性たちへ、そして、はざまで傷ついている子どもたちへ

「愛は束縛」だと思っていませんか?

愛情の名のもとに妻や恋人を傷つけていませんか?愛情の名のもとにそれを許していませんか?

★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

SweetHeartにも執筆してくださっている、「海外で安心して赤ちゃんを産む本」でも知られているノーラ・コーリさんの新書です。

以前SweetHeartで「パートナーから精神的もしくは肉体的虐待を受けたことがありますか?」というアンケートをしたところ、300人ほどの回答を頂き、驚いたことに約3分の1の方がなんらかの虐待を受けていると答えていました。「結婚生活掲示板」にも度々、夫からの暴力、モラハラ(精神的暴力)についての書き込みがあり心が痛みます。(虐待に関してはhttp://www.sweetnet.com/dv.htmでも特集しています。)

ノーラさんはカウンセラーとして、特に、海外在住で孤立しがちなDV被害者のために、対面やEメールを通してカウンセリングをしてこられました。今回は、その経験を元に、さらに多くのDV被害者、もしくは自分がDVにあっているとさえ気づいていない女性達、でも毎日を薄氷を踏むような思いで過ごしている女性達を、一歩一歩その苦しみから解き放つためにこの本を執筆されています。

第一章の扉に書かれた言葉がモラハラ被害者の日常生活の中での行き場のない苦しみを如実に語っています。

夫の帰宅
ドアが開くと同時に
心臓がドキドキしてくる、汗が出る

今晩はいったいなにが起こるだろう?いつキレるだろう?
なにが壊されるだろう?誰が泣くだろう?
気にさわるようなものはないだろうか?部屋はきれいになっているだろうか?

何を言われても聞き流そう
反論はただ火に油を注ぐだけ
どんなにののしられても我慢しよう
この時間が過ぎさえすればまた明日が来る

私さえ我慢すれば、そう、私さえこの口を閉じていれば
嵐はいつか去る
けれど嵐は再び明日も襲う、そして次の日も、そしてまたその次の日も
永遠に終わることなく、死という幕が閉じるまで?

被害者は加害者によって毎日傷つき、悲しみの中で自信さえ失い、じっと貝のように心の殻の中で泣いています。

著者は、自分の心を守るためのいくつかの方法を提示します。「加害者にはあなたの感情を否定することはできません。それは感じ方に正しいも間違いも、よいも悪いもないからです。また加害者は、あなたにどう感ずべきかを強制もできなければ、批判もできません。どう感じるかは個人的なものです。あなたの気持ちを受け入れられないのは、加害者の問題であれ、あなたの問題ではありません。ですから、たとえ彼があなたの感情を否定しても、理解を求めず、自分の気持ちを確認したと、とられれば心は傷つかないでしょう。」

「加害者のやることは矛盾だらけです。(中略)・・・理不尽なことばかりを言います。それに惑わされてはいけません。彼の言うことを信じたら彼の世界引き込まれ、自分の考えがゆらぎます。自分の見解がまともであることを断固信じ、加害者とは違う認識の世界にいることを自覚していれば、相手に惑わされなくなるでしょう。(後略)・・・」

また被害者が別れを決意した場合のステップ、別れてから自分を取り戻すまでのステップなどもあります。

1章 DVとは
2章 なぜ傷つけるのか?ーなぜ虐待に出るのか
3章 迷いーとどまるかそれとも分かれるか
4章 子どもたちへの影響
5章 踏みとどまることからの希望ー迷いから決断へ
6章 別れる決心をしたあなたへ

今、現在苦しみの中で日々を過ごしている方が明るい明日を迎えるための第一歩のための心のガイドブックとしてお薦めします。

ホームレス中学生

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中学生にして、ある日突然ホームレスになってしまった麒麟という日本の若手お笑いコンビの一人、田村裕さんの自叙伝です。

惜しみない愛情をそそいでくれた母親は癌で他界、父親は失業、破産。ある日、いつもどおり学校から家に戻ると家は抵当に入っており、父親は失踪。途方に暮れるままに近くの公園の滑り台で寝泊りするようになります。公園で洗濯をし、顔を洗い、自販機の下の小銭を拾ったり、ハトの餌のパンくずを拾い、ダンボールや雑草を食べながら、誰にも気づかれずに学校に通い続けます。

読み終えて、ふと「誰も知らない」という映画を思い出しました(主演の14歳の少年が史上最年少でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞したことで話題になった作品)。

母親が失踪し、取り残された幼い5人の子ども達が誰にも気づかれずに長期間、小さなアパートで暮らしていたという実話に基づいた映画です。

このように社会にの小さなひずみから、こぼれ落ちてしまい、そのまま誰にも気づいてもらえない子ども達というのが日本の社会にも案外多数いるのかもしれません。

田村少年は、やがて友達の家族に救われ高校にも通い、極貧生活ながらも、良い出会いに恵まれ、漫才師の道を歩むことになります。

苦境の半生の中で(お笑いの人だけあって、辛い体験を全て笑いに変えていて、本の流れは終始一貫して明るいです。)、彼が常に思っていたことが「天国にいるお母さんが、他人から笑われないような立派な人間になりたい」ということでした。たとえば、飢えた田村少年が、コンビ二で目の前のパンを万引きしたいという衝動から踏みとどまらせたのも母への思いでした。

母親の愛というのは、たとえ身は滅びても愛は子どもの心に残り、その後の人生を支えることもあるのだと思いました。

sonata.jpgブロックバスターから選んでないのに勝手に送られてきたDVDですが、久々に良い映画を観たなーと見終わって思った映画です。DVDケースの短いあらすじは・・・「ベルリンの壁崩壊前の東ドイツで、国家には何の危険もないように見える劇作家を反体制主義者であることを証明するために24時間盗聴監視するように命じられた冷静沈着な国家保安局員の話。」とあったので、「ウワ地味!面白くなさそう」とテンションが一気に下がったのですが、見ている内にドンドン引き込まれてしまい、終盤には心臓がドキドキ、見終わった後にはジワーッとその余韻に浸っていました。

ドラマの展開を十分に味わっていただきたいので多くは書きません。あらすじも上記以外は読まずに見て欲しいです。実はこの映画は2007年度のアカデミー賞外国語映画賞作品だと後から知りました。邦題は「善き人のためのソナタ」です。

英語の字幕ですが、話はハリウッドにありがちな難解な複雑さはなくテンポも目が回るような速さではないので、それほど読むのに苦労しないと思います。

おさえた素晴らしい演技をしていた監視官役のUlrich M醇・eは実際に東ドイツの出身で、この作品で賞を取った直後に癌で急逝したそうです。

劇作家役のSebastian Kochが、おとなの渋さがあっていいです。私の中ではドラマが進むにつれ良い男度がアップしていきました。


ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ」を読んで義明が6歳まで育ったエリザベス・サンダースホームの創設者の澤田美樹さんについて、もっと詳しく知りたいと思い、彼女の自伝であるこの本を購入しました。

三菱財閥の長女として生まれ、男勝りだった幼少期、なぜか聖書の言葉に強く惹かれた少女時代。周囲がなんとか伯爵家の息子と結婚させようとする中、わざとお見合いをぶち壊し続けて周囲を困らせた娘時代。そして中国、アルゼンチン、イギリス、アメリカ(NYの総領事として)などを渡り歩き上流社会での華やかな生活を送った外交官婦人時代。パールバックやジョセフィーン・ベーカーら著名人たちの交友。

でも、彼女は段々と華やかな社交界の絶え間ない催し、夫の出世のために夜を日についでのもてなしに、むなしさを感じはじめます。「そのようなことに何が残るのか。人のため、世のためになる何が残るのか・・・」と。そして社会事業の中に彼女の心の飢え、渇き、求めているものを見出していきます。

やがて帰国、第二次世界大戦。息子たち3人は次々と徴兵され、三男は戦死してしまいます。

戦後には財閥解体。実家は全てを失ってしまいます。

敗戦国の惨めさをつくづく味わっていた頃、まるでボロくずのように捨てられた蒼い目の、または黒い肌の、または金髪の嬰児たちの死体を道端に、どぶの中に、川の中に見かけるようになります。そしてある日、列車内で棚から彼女の膝にふろしき包みが落ちてきます。それは風呂敷と新聞紙に包まれた黒い乳児の死体でした。その時、彼女は、このような子どもたちのために母になることが自分の使命だと啓示を受け受けます。そして決心します。「この仕事のやりとげられる最後まで、神、われと共にいませ・・・・」と。

しかしホームを創設するにも、実家は財閥解体、GHQの接収により、全ての財産を失っており、まったくゼロからの出発でした。金策に駆け回る日々、そして進駐軍からの執拗な妨害など数々の苦難を乗り越えてエリザベス・サンダースホームを支え続けます。

そして聖書の「天国に至る道はせまく、けわしい」という言葉に行き着きます。

引用
「私は、すべての地上の宝を敗戦によって失いました。また、持っていたものは、すべて仕事に捧げました。物を有しないということは、こんなにも幸福なものでしょうか。私は、必死になって、守ろうとしたり、ふやそうとしたりする心のわずらわしさから、いっさい解き放たれたのです。

求めたからこそ、与えられたのです。
失ったからこそ、見出したのです。
悲しんだからこそ、なぐさめられたのです。
下に落ちたからこそ、引き上げられたのです。」

「私はロンドン時代に人生の冷たい扉にぶつかって、大いにもがいたことがあります。お金で買うことのできない幸福の存在を知って、それを求めました。それから33年の今日、金銭で買うことのできない幸福を見つけ出しました。人をしあわせにすることは、自分の幸いを得ることにつながっています。

幾多の失望も、試練もありましたが、それは今日へつづく飛び石でもあったのです。その飛び石を伝わってきてこそ、ここに至る道があったのです。完全な幸福は、多くの場合、いろいろな変装のもとに訪れてきます。はじめから、むきだしでくる幸福は長くは止まっていないでしょう。変装した幸福を受けてこそ、やがての日、その中の、真の幸福がむき出されてきます。そして、それは永久にその人のもとに止まることになります。」

当時の日本での混血の子どもたちへのあからさまで非情な差別にも改めて驚かされます。幼い子らの心を守るためにも彼女は敷地内に学校を作ります。また養子縁組も積極的に進め500人以上の子どもたちが海外へと旅立ちます。日本での彼らの将来を案じ、園で成人する子達のために新天地ブラジルへ移民させるためアマゾン流域の開拓をし農場まで設立してしまいます。最終的には2,000人以上の混血孤児を育てあげました。

義明は第二次世界大戦後すぐに米兵GIにレイプされた母から生まれ4歳の時にエリザベスサンダースホーム(日本女性と米兵の間に生れた子どもを養育する孤児院)に預けられます。義明は「必ず迎えに来るから。」という母との指切りをずっと信じて待ち続けていましたが、ついに母は現れることなく、11歳の時にまだ日本人への差別の残る南部アメリカ・サウスカロライナ州のフラハティー家の養子になるため海を渡ります。

アメリカに着いた義明は、アメリカに溶け込むため、養子先の家族に愛されるため、人並み以上の努力を惜しまず、やがてスポーツ(フットボールと野球)で頭角を現し、高校生になる頃には義明の活躍は連日地元の新聞を飾るようになります。明るい性格、そして大活躍していても謙虚な義明は、多くの人から愛され学校の女の子にも大人気で輝かしい青春時代を過ごします。家族も義明のことを誇りに思い心から愛していました。

それでも義明は心のどこかで常に、自分はよそ者であり、アメリカに属していない、という思いを抱えていました。

やがて野球で奨学金をもらい大学に進みます。

その頃、ベトナム戦争が激化していましたが大学生は卒業するまで兵役が免除されていました。けれども義明は敢えて自ら陸軍に志願します。それは自分がアメリカ人になることを確認するため、そして6ヶ月戦地での任務を果たした後に兵士は休暇をもらえ好きな場所に行けるという恩恵を利用して日本に行き、生みの母を捜すため。

けれども、その6ヶ月目の休暇を待たずに義明は激戦地に送られ命を奪われてしまいます。享年22歳。

そして、それから何十年の時を経て実母が一日も忘れることなく、どんなに義明を愛し続けていたか、なぜ義明を迎えに行くことができなかったのかという真実が明かされます。

義明の死が義明の周りにいた人々にもたらした深く大きな悲しみにも胸が痛みます。

今日もイラクでは3人の兵士が、この3日で12人の兵士の命が失われたとニュースが流れています。

アイ・アム・デビッド

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第二次世界大戦直後の共産圏下のブルガリア。父親がレジスタントの容疑で連行されたため両親と引き離され収容所で死と隣り合わせの過酷な強制労働の日々を送りながら育った12歳の少年Davidが、希望ではなく絶望から収容所から脱走します。脱走を助けてくれた人の「デンマークへ向かってひたすら北に向かいなさい。道中誰も信じてはいけない。」という言葉とコンパスとデンマークに着くまで決して開けてはいけないと言われて託された一通の封書だけを頼りに北を目指します。

さまざまな試練を乗り越え、いくつかの幸運に恵まれつつ、ようやくスイスにたどり着いたDavid。そこで明かされる封書と逃避行の秘密、そして驚きと感動のクライマックスが・・・。

iamdavid2.jpgこの映画は、単なるドキドキハラハラの少年の冒険物語ではありません。

ナチスの強制収容所体験を著した「夜と霧」で有名なV.E.フランクルが、その著「それでも人生にイエスと言う」の中で「ナチスの親衛隊員である収容所所長が、ひそかに自分のポケットマネーで囚人のために薬を調達していた。一方、同じ収容所の最年長の囚人は、囚人仲間をぞっとするような仕方で虐待していた。・・・(それらの体験によって)すべては、その人がどういう人間であるかにかかっていることを、私たちは学んだのです。最後の最後まで大切だったのは、その人がどんな人間であるか「だけ」だったのです。」と書いていますが、この映画は少年Davidの目を通して同様のことを語っているように思いました。

ヨーロッパの美しい風景も感動的です。

原作はデンマークで1963年に出版され最優秀北欧児童小説賞ギルデンダル賞を受賞したほか、アメリカ図書館協会賞児童文学部門を獲得したそうです。

www.iamdavidmovie.com/ I am Davidのホームページ


「ガラクタ捨てれば自分が見える-風水整理術入門」  
カレン・キングストン著

私は片付下手、片付け嫌いです。

そんな自分に飽き飽きして「整理整頓が上手になる」という本を以前、買ったことがあるのですが、結局、読みながら、「なるほど~そうやって整理するわけね♪」と納得しただけで、やっぱり整理する気が起こらずじまいでした。

そもそも、散らかっていても、ほとんど気にならない性格なのがいけません。つまり散らかっていても片付けたいという気持ちが、あまり起きないわけです。(とりあえず見える場所だけは適当に片付けてますが、見えない場所は、かなりすごいです。まー見える場所から見えない場所に移動するだけなので無理もないんですが。)

こんな私には何か強~い動機付けが必要だと思っていた時、偶然目に留まった「この本を読めば絶対に片付けたくなる。」という本のコメントに「私に必要なのは正にこれだ。」と思ったわけです。

いや~びっくりしました。本当に半分も読まない内に片付けたくなりました。

今、「一日一箇所片付けるようにする。」と決めて、少しずつ実行しています。最初に取り掛かったベッドルームでは、なんと大きなゴミ袋に3袋分の要らないものが出ました。次にとりかかったリビングの棚からは2袋。靴箱からは、過去数年一度も履かなかった家族の靴など一袋分。まったく信じられない量です。今日は二年間見る度に傷とシミだらけで気になっていた玄関の壁のペンキ塗りまでしてしまいました。

さらに以前は、片付けしながらでも、渋々、イヤイヤやっていたので、多分ネガティブ思考で片づけをすることは私にとって多大なストレスであり体にも悪かったと思うのですが、この本を読んでからは、片付けしていても、全然イヤじゃないから不思議です。

風水-スペース・クリアリングの考えによると、ガラクタというのはエネルギーの渋滞であり"気"を滞らせ、精神を停滞させてしまうのだそうです。さらにガラクタはさらに濁ったエネルギーを呼び集め人生の状態にまで影響を及ぼしてしまうというのです。

私は本を買おうかと思った時、まずAmazonのReviewを参考にするのですが、この本は、なんと223件ものReviewがついており評価は4星半です。

そして、前回も書いたように原書は英語ですので、Amazon.comのReviewとも比べてみたのですが、なななんと、197件のReviewで評価は日本と同じ4星半でした。


あるモデルさんのサイトで「病気にならない人は知っている」という、とてもキャッチーな題名の本を紹介していたので(以前、紹介した新谷先生の「病気にならない生き方」の二番煎じ的な題名ですが・・・)日本のAmazonサイトでReviewをチェックしてみました。

27件のReviewで4つ星で、かなりよさそうな感じです。著者はアメリカ人だったので、じゃ原文の方が安いからアメリカAmazonで買おうかとチェックしてみると、え?26件のReviewで星はたったの2個半!!

この違いは何?

この本の著者は、そもそも医者じゃないそうなのですが、彼の提唱する健康法はたとえば、、「メーカー品を食べない」、「養殖魚、豚肉、貝を食べない」、「蛍光灯は使わない」「水道水は飲まない」などなど、かなりの健康おたく的な内容です。

日本のReviewを読むと「信頼出来る本だと直感と経験で判断しました。」とか「目から鱗」とか「ロジカルでないけど信じたくなる」という意見が多いのですが、対するアメリカのReviewは、「論理的じゃないから信じられない」という意見が圧倒的です。

およそ同じ数のReviewがついていて、これだけ格差があるのは、国民性が出ていて実に面白いと思いました。

一般にアメリカ人は論理的思考を重んじ医学的、科学的に実証されていないこと、白黒はっきりしていないことはまず疑ってかかり、日本人は学問的に証明されていないこと、グレーゾーンの事柄でも、それなりの理由を提示されると納得してしまう。

日本人のこの特質は決して悪いことばかりではないけれども、裏目に出ると、非常に乗せられやすく、集団狂気でパニックに陥りやすく危険だと思います。

たとえばTV番組に乗せられて、全国で「あるある納豆騒ぎ」が起こる・・・古くは平成米騒動、さらに古くはトイレットペーパ騒動など、正に日本人的だと思います。

ちなみに騒ぎの元凶となった納豆の食べ方の守らなければならない黄金法則3つ。

1:納豆は2パック食べる。
2:朝・晩の2回に分けて食べる。
3:よくかき混ぜて、20分間以上放置してから食べる。

1,2は、まだ良いとして3はどう考えても、論理的じゃありません。これを信じて全国で多くの人が納豆を必死にかき混ぜて20分放置していたと思うと・・・悪いけど笑えます。

というわけで、お勧めの本というテーマからは完全に逸れてしまいました。すみません。とりあえず、この本は、Reviewが最低ではあるけれどもNatural Curesという名前でベストセラーになったそうです。買おうか買うまいか迷うところです。

造顔マッサージ


日本でセレブの間でも人気だという「田中宥久子の造顔マッサージ」(DVD付)買っちゃいました。

買ったのは3ヶ月前位なのですが、自分の顔で試して結果を見てから、と思い今に至ってます。

ご存知でない方のために、簡単に説明しますと・・・

<出版社/著者からの内容紹介>
10年前の顔に戻る、最新最高のマッサージ術を、わかりやすく誰もが実践できるやり方で伝授。毎日たった3分のマッサージで小顔になれる。しみ、シワ、くすみ、たるみ、毛穴などの悩みを解消。前作を大きく超える効果は当然! DVDには田中宥久子自らが出演、驚異のマッサージ法を指導します。この一冊で人生が変わる、毎日が変わる!

とのことです。「痛気持ちいい」ほどの強さでマッサージして、リンパにむくみを流すのが特徴です。Amazonで見るとカスタマーレビューが82件もついていて、ほんとかいな?と思うのですが5星です。ついに誘惑に負けて買ってしまったわけです。

結果は・・・劇的変化で謳い文句のように10年前の顔に戻ることは残念ながらなかったです(^^;;。でも、マッサージし始めてから特に最近気になっていた口角のたるみが改善したのと、鼻の脇から口角に伸びるいわゆる法令線というものが、ちょっと薄くなりました。(ただし!今のところ自分以外、ダレもこの変化に気づいてくれてません(^^;; )

本来マッサージクリームでやるべきことですが、マッサージクリームが見つからなかったので(大体アメリカにマッサージクリームは売っているんでしょうか?)POND'SのCold Creamを使って最初の内はやっていたのですが、生来不精なもんで、最近はシャワーを浴びながら石鹸の泡でやってます。

マッサージした後は、まず顔の血色がよくなり、なんとなく顔のむくみが取れるのが実感できますので、10年前の顔に戻らなくても、まあいいか、という感じです。

病気にならない生き方


特に「胃腸が弱い」、「最近、食後に胃もたれするようになった」という方には是非読んでいただきた本です。

2年ほど前に話題になってから、ずっと興味があったのですが、やっと手に入れることができました。既にご存知の方も多いと思いますが、新谷先生は世界で初めて、大腸内視鏡を使うことによって開腹手術をすることなくポリープを切除することに成功。胃腸内視鏡外科医として、これまでに約30万例以上の人の胃腸を診てきた方です。現在もアメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学外科教授として多くの命を救っています。彼の患者さんには、ダスティン・ホフマン、スティング、ジェニファー・ジョーンズ、レーガン大統領など有名な患者さんも数多くいて行列のできるお医者さんです。

新谷先生が、これだけ多くの胃と腸を内視鏡で診て来て気づいたのが、美しい胃腸を持った人(胃相・腸相の良い人)と、不健康で美しくない胃腸を持った人(胃相・腸相の悪い人)がおり、それはその人の食生活に大きく関係しているということです。

現在の医学は、臓器別医学で胃が悪ければ胃だけ、腸が悪ければ腸だけを診るというように単独の臓器だけを診て、それ以外の臓器、患者の食生活を含む患者の健康状態をトータルで診ることをしませんが、You become what you eat.で、様々な病気の背景には、食生活が大きく影響しているはずだと言います。つまり、人間の体はすべてがつながっており、たとえば歯が一本虫歯になっただけでも、その影響は体全体におよぶと言います。

新谷先生自身が、ご自分の提唱する食生活、新谷食事健康法を送っており、45年のあいだ、一度も病気になったことがなく、また新谷食事健康法を実践した新谷先生の患者さんは、ガン再発率ゼロ%。ガンやポリープと日々向き合う医者であるにもかかわらず、死亡診断書は一度も書いたことがないという実績を誇っています。

私は、小さい頃から、胃腸が丈夫な方ではなく、最近特に夕食後の胃もたれに悩んでいたのですが、この本を読んで、自分の食生活を見直してみようという気持ちに強くさせられました。

特に最近、新谷食事健康法書いてある実は体に悪いと言われているものを食べるた時に胃もたれや腸内異常発酵のような状態になっていました。それらは、主に牛乳、ヨーグルト、肉類、お茶類などです。

また、日本人とアメリカ人の胃腸の違い、食べ物に対する影響の違いなども、やっぱりという感じで大変興味深いものでした。日ごろ、夫や夫の義父、周りのアメリカ人を見ていて、この人たちはどうして、こんな巨大なステーキやテンコ盛りのアイスクリームを頻繁に食べて胃もたれしないんだろう?と不思議に思っていたのですが、その謎も「アメリカ人の腸と日本人の腸は何が違うか?」という章を読んで解けました。また、アメリカ人の異常な太り方をしている人を見て、なぜあそこまで太れるのか不思議に思っていた謎も解けました。

新谷先生いわく、日本人があそこまで太れないのは、そこまでいく前に胃を悪くして食べられなくなってしまうからなのだそうです。それだけアメリカ人の消化器官は日本人に比べ丈夫なのだそうです。また、アメリカ人の胃腸が丈夫なもう一つの理由は、アメリカ人の方が消化酵素の量が多いからだそうです。

やはり、私たち日本人がアメリカ人と同じように肉を食べたりチーズを食べたりするのは、健康的に無理があるということです。今年、日本に滞在中に10日ほど実家の母の純日本的な食事(納豆、焼き魚、海草Etc...)を摂っている内に、ずっと最近続いていた胃のもたれが解消したことでも、私の気持ちの中では、日本的食事をとることの大切さが裏付けられたように思います。(特にアメリカ的な食事をしているわけではありませんが、たとえば、我が家では煮魚や焼き魚でなく、バターソテーの魚が多かったり、オリーブ油を使った料理や、肉の多い食事が多かったりしています。)

本を読み始めてから、新谷食事健康法を完全実施するには至っていませんが、とにかく悪いと言われているものの摂取量を減らすことから始めているのですが(一日二回の紅茶と3回の緑茶をやめボトルの水を飲む。肉の量を減らす。揚げ物を減らす。朝起き抜けに水をのみ20分置いてフルーツを食べ、それからまたしばらくして食事をする)、3日目で夕飯の後に必ず胃もたれして辛かったのが解消、そして今2週間目位ですが、胃腸の調子が絶好調です。気のせいか一日を通して疲労感も少ないです。(とにかく私は紅茶が大好きなので、朝一杯の紅茶が飲めないのは、最初の数日間は、とても辛かったです。)

新谷食事健康法を完全実施するのは、かなり難しいとは思いますが、自分でできる範囲で実行してみればいいんじゃないかと思います。

特に印象的だった章:
日本人の胃がん発生率はアメリカ人の10倍
胃薬は飲めば飲むほど胃は悪くなる
牛乳を飲み過ぎると骨粗しょう症になる。
「ヨーグルト神話」に疑問を感じるこれだけの理由
マーガリンほど体に悪い油はない
牛の乳や本来、子牛のための飲み物である
習慣は遺伝子を書き換える
やせたい人は「良い水」をたくさんとろう

骨盤メンテ(ゆがみを解消!)


SweetHeartがオンラインデビューしたほぼ10年前から数年にわたって女性の体について執筆してくださった渡部信子先生の著書です。

当時、ひどい腰痛に悩む私が、友人の薦めでまだ赤ちゃんだった次男を抱っこして、真夏のうだるような暑さの京都の整体サロンに初めてお邪魔したのが渡部先生との出会いでした。それ以来、愛用(母も父も愛用)し続けているのが渡部先生発案のトコちゃんベルトで、SweetHeartのホームページでも、その素晴らしさを何度も書いてきました。

SweetHeartを通してトコちゃんベルトを知った方が、産婦人科の先生に紹介したことがきっかけで、日本産婦人科学会総会でも、その効果が認証されるという嬉しいエピソードもありました。 そして今では全国の多くの産婦人科病院、赤十字病院、産院で使用されています。

渡部先生も今や助産師会のカリスマ的存在となり日本全国で行われる助産師さんのための整体セミナー、一般向けのマザーセミナー、全国5箇所にある整体サロンは全て満員御礼状態。女性の骨盤ケアにおいても押しも押されぬ第一人者です。

この本は日経ヘルスに大人気だった連載「骨盤ケア−女性のカラダのメンテナンス術」を1冊にまとめたものです。

月経の最中でもできる痛みをとる「ひざ押し操体法」
ガチガチの腰を緩めて正す「ひざ倒しの操体法」
お相撲さんを見習え、骨盤周囲の筋肉を鍛える三つの体操
ぞうきんがけで、背骨のきれいなカーブをつくる

などなど、体のゆがみ、ゆるみを矯正する、家で簡単にできる様々な体操を図解で詳しく紹介されています。

先日10日ほど日本に戻っていたのですが、この本を読んだ後に町で歩いていて若い女性たちの姿勢がとても気になりました。渡部先生が書いているように、確かにO脚が多いし、ハイヒールを履いて腰を曲げて歩いていたり、猫背の人が多いんです。特に、こどもを産んだ世代の人の後姿を見ていて、骨盤が開いた感じで股下からO脚のようになっている人が多いことにも気づきました。

骨盤メインテナンスについて知りたい方にお薦めの一冊です。

第一章 下半身太りは、緩んで開いた骨盤のせい!
第二章 骨盤メンテでO脚もスラリ
第三章 便秘・痔・尿漏れ「シモのトラブル」は柔らか背骨で解消!
第四章 ゆがみのルーツを探せ!
第五章 ゆがんだ骨盤が月経痛をひどくする
第六章 腰の張りを取って腰痛解消!
第七章 冷えとむくみも、自分で治せます

5つ星です。>女性の体に起こる様々な不調の多くは、骨盤のゆがみが原因だった!若い女性や妊娠出産前後の女性は特に必読!

カリスマ助産師・整体師として女性の骨盤を見続けてきた渡部信子氏が、骨盤と不調の関係をすっきり解き明かし、体操や骨盤ベルトといった簡単な解決法を提案。
ダイエットやO脚のような美容問題、冷え・便秘・肩凝り・生理痛・頭痛などの不調が、ごく簡単なストレッチなどでどんどん治ります!
さらに不妊や難産、産後の激太りなど、若い女性なら心のどこかで必ず気になる妊娠・出産絡みのトラブルにも触れます。雑誌「日経ヘルス」で大人気の連載がついに単行本化!

博士の愛した数式


最近、小説を読むことがめっきり減っていたのですが、久々に心温まる純文学の本でした。

事故で記憶が80分しか持たない数学者の老人、期せずして未婚の母となってしまった誠実な若い家政婦、素直で明るい小学生の息子、それぞれが、お互いをさりげなく労わりながら、なんでもない日常の中に安息と小さな幸せを見出していく様子が、なんとも美しく、昔のセピア色になった家族のアルバムを見るような懐かしいような気持ちになり、心地よい余韻の残る小説でした。

ハンカチ王子と老エース


ハンカチ王子と老エース−奇跡を生んだ早実野球部一〇〇年の物語

昨夏、日本中に感動を与えたハンカチ王子こと斉藤君と田中君の戦い。私は実際の試合を見なかったのですが、甲子園史に永遠に残ることになるであろう死闘の様子をネットで読み、いち母親として頂点を極めた17才の少年の強い精神力が一体どうやって育まれたのかに大きな興味を持ちました。

特に本のレビューで実は斉藤君は『以前は些細なことがきっかけで精神的に崩れてしまう投手だった こと、そして「僕はあの日、鬼になりました。」と自ら語るように、精神的な脆さを克服したきっかけがあったこと』を知り、さらに斉藤君の心の成長の様子を知りたくなり本を購入することにしました。

本の中では、斉藤君が早実に入学してから2006年のあの夏の瞬間までを追いながら、前後左右して
今回の早実の夏の選手権大会優勝が、いかに早稲田実業100年の悲願であったか、その苦難の歴史を紐解いていきます。

早実野球部創設、大戦後の焼け跡からの野球部の建て直し、昭和31~33年王貞治(墨田公園で草野球をして遊んでいた14歳の王貞治が、たまたま散歩に来た早実野球部復活の立役者の一人に見出され親の反対にあいながらも早実に入るまでのエピソードなども面白いです。)昭和55年~57年荒木大輔を擁してさえ成しえなかった優勝、そして斉藤君に引き継がれた優勝への悲願が、過去、現在にまたがって早実野球部に深く関わってきた人々へのインタビューを通して綴られ、その思いが読んでいても伝わってきました。

私は、特に野球が好きなわけではりませんが、この本は野球というスポーツを通して少年たちが成長する様子、そして100年という時の中に精一杯生きたひとりひとりの熱い思いが遂に一点の時と場所に結晶して偉業を成し得るまでを描いた人間ドラマとして大いに楽しむことができます。

甲子園決勝の最後の最後に斉藤君と対決することになった駒大苫小牧のライバル田中将大君がバッターボックスに入りながら「野球の神様がこの場面をつくってくれた」と思ったと後に語っていますが、まさに多くの人の強い思いには不思議な力があるとこの本を読んで改めて思いました。


前々からずっと気になっていた本ですが、やっと取り寄せて読むことができました。

家族のNY駐在とともにNYの高校に通うことになった孫娘(景子さん)から、ある日、分厚い手紙が届きます。歴史のクラスで第二次世界大戦について学ぶことになった孫娘が「戦争の見方や体験は国によって違いがあるはず。」という歴史の先生の指導の下、かつて軍人を目指して陸軍士官学校に通っていた祖父に質問状をしたためたのです。

「おじいちゃんが受けた義務教育は?」「なぜ、軍人の学校に進んだの?」「陸軍士官学校の教育はどんなだったの?」「戦後の学生生活で何を考えていたの?」「アメリカとの戦争は正しかったと思う?」「極東軍事裁判について、どう思う?」「天皇について、おじいちゃんの考え方は?」「日本のこれから、そしてアメリカとの関係は?」etc...

これらの質問に対して、祖父は戦前戦後の日本と自分自身の人生を振り返りながら高校生の孫娘にもわかるような言葉を選びながら語りかけるように応えていきます。

「『戦争犯罪人は一人前に汽車に乗ったりするな。歩いて行け!』。制服を着ていたから、私が陸士の生徒であることは一目でわかる。それを知った上での罵声だった。ついこの間までは、国を守るために命を捧げようとしている若者として、尊敬の目で見られていたのだ。おじいちゃんは沈黙して、屈辱にただ唇をかむしかなかった」

「おじいちゃんは、・・・・と思ったのだよ。」「景子・・・・わかるかい?」という優しい口調に自分の過去を孫娘と共有できる喜び、辛い歴史を通して自分が学んだことを孫娘に語り継いでもらえる喜び、筆者自身の語り継ぐことへの使命感そして何よりも孫娘への愛情が伝わってきます。

軍国主義へと歩んだ日本、戦争突入、混乱の戦後、価値観の転覆、日本経済の復興、このあたりの歴史を私達は詳しく学校で習うことが全くありません。孫娘の景子さんもNYの高校に通い始め、自分がいかに日本の近代史について知らないかを痛感し、戦争の話になっても日本の立場について全く説明することができない悔しさを味わいました。

私自身も、全く同じ思いを時々しますし、私の長男もMiddle School(中学)に通う頃から第二次大戦について学ぶようになり、アメリカ=完全正義という歴史観で行われる授業に疑問を感じることもあるようです。

今までSweetHeartの掲示板には、かつて日本が占領、侵略した国に住む方たちから、現地での反日感情に日々接して、日本人であることが恥ずかしくなった、どう対処していいのかわからない、などという書き込みが時折ありました。この本を読むと、多くの日本人がどこかで感じている、罪悪感とは一体何なのか?なぜ罪悪感を感じるのか?歴史の授業で教えられなかった部分がなんだったのか?なぜ教えられなかったのか?を解明してくれるはずです。

この本を読むことで、第二次世界大戦当時の日本をよく知らないままに完全否定するのではなく、当時の日本の国際的な立場、歴史の流れ、その時間に生きた日本人の思いをより深く理解できるようになると思います。(戦争を肯定するとか日本の行為を正当化するという意味ではなく。)

また、最後に挿入されている孫娘景子さんからの「おじいちゃんのレポートを読んで」という祖父への返信には、景子さんが祖父の手紙から考え学び、大きく成長した様子が伝わってきて感動的です。「・・・・これまでは、日本の歴史に自信が持てなくて、あまり詳しく知らないままに、また、あまり深く知りたくないという気持ちもあって、顔を伏せるような気分がありました。でも、そんな気分をおじいちゃんのレポートが吹き払ってくれたのです。おじいちゃんのレポートは、いまでも読み返しています。これからも読み返していくでしょうこれは私の原点になってくれそうな予感がします。」

「・・・しかし、おじいちゃんのレポートを読み、日本がコリアを併合したわけも、そのために受けたコリアの人びとの痛みもわかってみると、日本とコリアの間には大きな歪みがあることを感じます。

日本人である私も私の友達も、日韓併合のことはほとんど何も知らない。だが、仲良しのコリアンは日韓併合のことをよく知っていて、日本に対して憎しみの感情を持っている。この違い。それは教育の違いだということがわかってきました。・・・・・(中略)・・・しかし、このようなことでは、おじいちゃんのいうように、歴史に学ぶことはできないと思います。日本がコリアを併合した事実を知り、そこにあった過ちを知り、コリアの人びとが受けた痛みを知る。コリアの人も同じようにして、日本への併合を防ぐことができなかったコリアの問題点を知り、その過ちを知り、その過ちによって受けた痛みを学ぶ。そうしてお互いの違いを知り、それを認め合い、受け入れることで、私達の世代は新しい日韓関係を結ぶことができるのだと思います。・・・・(中略)・・・そういうことを仲良しのコリアンと話し合いました。彼女はうんうんとうなずいてくれました。これもおじいちゃんのレポートで学んだことの一つです。」

高校生以上の人たちには是非一読してもらいたい本だと思います。

笑顔で生きんしゃい!


ミリオンセラー「佐賀のがばい、ばあちゃん」の続編です。普通、二匹目のドジョウを狙った第二弾は大したことなかったりしますが、「笑顔で生きんしゃい!」は、前回に書かれていなかった、ばあちゃんとのエピソードも多く盛り込まれ、再び心に訴えるところのある本になっています。

ばあちゃん語録には、ばあちゃんの人生観が結晶されていて、このような人生観で毎日を生きたら随分楽になるだろうと、つくづく思えます。

第一弾「佐賀のがばい、ばあちゃん」の冒頭の「幸せはお金が決めるんじゃない、自分自身の心のあり方で決まるんだ。」という筆者の言葉を再び納得させてくれる一冊です。

たとえば、「(成績表が)1と2ばかりでごめんね。」と言うと、ばあちゃんは「大丈夫足せば5になる。人生総合力」と言ってのけてしまいます。

悪口を言われて悔しがると「二、三人に嫌われても、反対を向けば一億人いる」と言います。

このような、いぶし銀のようなばあちゃん語録は、人づきあいにしても、子育てにしても、悩んでいる時に、すっと肩の力が抜けるような哲学があります。

明治・父・アメリカ


私の大好きだったSF作家、星 新一氏が書いた父親、星 一の半生です。星 一は現在の星薬科大学の創設者であり、当時アメリカで野口英世や伊藤博文、後藤新平らと深い親交を結んでいます。

大変な苦労をして明治27年(1894年)20歳でアメリカに渡りスクール・ボーイ(住み込み手伝いの学生)をしながら資金をためコロンビア大学に入学(1896年)し見事に卒業。NYでアメリカに日本のことを知ってもらうための英字新聞を創刊。明治38年に帰国するまでの星 新一の限りなくポジティブな生き方をイキイキと綴っています。

特に、まだまだ若く勢いのあったアメリカという国、能力のあるものには援助を惜しまなかったアメリカ人、そこに不器用ながら真っ直ぐな心で入り込み、困難にもくじけず自分を活かしていく星 一の姿がまぶしいほどに輝いています。

たとえば星 一はアメリカに渡った後に、人の良さにつけこまれてお金を騙し取られ、ほとんど無一文になってしまいます。そこでスクールボーイとしてアメリカ人家庭に住み込むのですが不器用さゆえに1ヶ月の間に25回も追い出されてしまいます。それでも、星は決して泣き言を言わず、確実に仕事を覚え実直にこなし、行く先々で気に入られ別れを惜しまれるほどになります。

以下は、小島直記という人の本の後書き解説の中でも心を打ったと部分として引用されていますが・・・

住み込んでいた家の夫人が星に

「おまえのお母さんは、きっと非常に立派な人なんでしょうね。」と言いだす。そして、「なぜ、そんなことを・・・」といぶかる星青年に

「ここの家でも、これまでに何人かの日本人を使ってみました。しかし、どの人も同僚の悪口を言ったり、不平不満を口にしたりする。それなのに、星は一度もそんなことを言わず、よく働いてくれている。おまえのお母さんは、おまえのような純真な子を生み、忍耐づよい、健康な青年に育てた。これは容易なことではありません。だから、会わなくてもそれがわかるのです。」

そう言われて、星は胸にこみあげるものを感じ、涙を流した。

「わたしは子ですから、もちろん母を尊敬しております。しかし、ここの奥様にそうおほめいただくとは、思ってもみませんでした。そのお言葉を母が聞いたら、どんなに喜ぶでしょう。」

星の母親は無学で字が読めませんでしたが、やはりとても実直な人でした。この一節を読んで、やはり母の力というものがすごいものだと感じました。

特に、異郷に生きる日本人の心を打つ一冊だと思います。

一時、絶版になっていたのですが、最近また復刻されたようで、とても嬉しいです。

日出処の天子

manga.jpg先日、茶飲み仲間と昔感動した漫画とうい話題で盛り上がっていました。

「はいからさん」「ポーの一族」「エースをねらえ」など色々と出てきたのですが、最後に「日出処の天子」という名前が挙がりました。私は読んだことがなかったのですが聖徳太子がテーマになっていて、とても面白いということで、この名前を挙げた本人が、なんと全巻そろえてお宝として持っていたので、ありがたいことに貸してもらうことができました。

そして読み始めたら止まらない!久々のコミックの世界。一挙に全巻制覇しました。ジムにまで持って行って、周りに「いい大人がコミックなんて読んでいる」と思われないように、しっかりカバーをかけて、片隅の自転車をこぎながら読んでいるのですが、いつもなら難行苦行の30分も、この本を読んでいると、あっと言う間!

本にはさまざまな歴史上の人物が出てくるので、太古の史実に急に興味が湧いて色々とGoogleして久々に歴史を学んでしまいました。こうやって全ての歴史を勉強すれば全然苦にならないということがわかりました。

それにしても、限られた太古の昔の史実を元に、ここまで話を広げられるなんて、このコミックの作者、山岸涼子さんは天才だ〜!!と鼻息荒く思ってしまいました。ベルバラにしても、大和 和紀さんの源氏物語をコミックにした「あさきゆめみし」もそうですが、日本のコミック文化はすごい!と改めて感銘しました。

それにしても、日本のコミックは、改めて考えると美しい少年達の性愛を扱ったものが結構多いのに驚きました。これって中性的な少年たちの集団ジャニーズが流行ったりするのとも何か共通点があるような気がします。

今年の夏、日本の本屋の結構目立つ場所に男性同士が抱き合っている表紙の半コミック、半小説のようなものが置いてあって、ふと手に取ってパラパラと中身を見てしまったのですが、なんと、本当に男性同士の官能小説。ワオ〜これって、誰が読むんだろう?と思っていたら、ある日オンラインの読売新聞の「性の風景2006」という記事の中の男性キャラに「萌え」 というタイトルに目が留まりました。

この種の小説のことをヤオイと呼び、女性作者が女性読者のために書いている男性同士の恋愛はセックスを描いた作品だそうです。そして、ヤオイ好きの女性達が集まる「乙女ロード」という場所が池袋にあるんだそうな。不思議の国ニッポン!ドナルド・キーンさんも、この話題でまた1冊本が書けてしまいそうです。

「聞く技術」が子どもを伸ばす!


SweetHeartの「子育てトピック」で内容を詳しく紹介している−子どもが心を開く親の話し方聞き方−How to Talk So Kids Will Listen & Listen So Kids Will Talk−の邦訳。実際の会話例も豊富で、簡潔明快、今日からでもすぐに実行できることばかりです。子どもに対してついついネガティブな物の言い方、批判、小言を言ってしまう方には、自分の口から意識せずに、もしくは、止めようと思っても出てしまうそういう言葉を、認識し改めるステップByステップのガイドになるでしょう。最初にこの本を読んだのは、長男が幼稚園〜小学校低学年の頃でしたが、その子がティーンエイジャーになって読み返してもも、また学ぶところの多いにある本です。

ところで「水は答えを知っている―その結晶にこめられたメッセージ 」でも「子どもが育つ魔法の言葉」でも「愛に生きる」才能は生まれつきではない でも全ての本に共通しているのが≪ポジティブな言葉を子どもにかけることの大切さ≫です。簡単なことのようで案外難しいことだと思います。

モモ−時間どろぼうと・・・


モモ−時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語

ミヒャエル・エンデの冒険ファンタジー1976年にドイツ児童文学賞を受賞した作品。

きっと子どもの頃に読んだことのある方も多いと思いますが、私は子どもに読み聞かせする本として、数年前に初めて手に取りその魅力に引き込まれました。大人でも十分に楽しめるファンタジー・・・というより現代社会の中で失われてしまった、何もしない時間、空想する時間、余裕のある生活の大切さを大人にも子どもにも改めて気づかせてくれる本だと思います。今の言葉で言うとスローライフの薦め、と言ったところでしょうか。

内容は、人々を幸せな気持ちにさせてくれる不思議な力をもった少女モモ。いつもモモの周りには、たくさんの人々が集まって時間を忘れて時を過ごしていました。ところが、得体の知れない灰色の時間泥棒が街にやってきて、人々に時間の節約をそそのかし、あまった時間を盗んでいきます。街の人々は、どんどん忙しくなり余分な時間がなくなっていきモモの周りに集まる人もいなくなってしまいます。モモは、皆の時間を取り戻すため時間泥棒に対決を挑みます。


SweetHeartの「バイリンガル教育掲示板」にも度々顔を出してくれる”インター卒生”(ハンドルネーム)の著書。

学生〜ビジネスの世界を通して2言語、2文化に精通した著者が、豊富な実例をあげながら大変わかりやすく言語力とバイカルチャー(社会への適応力、対応力)の関係を解き明かしています。

日本のインターに関する卒業生ならではの考察は、これからインターに子どもを入れようと考えている方の参考になるでしょう。

また、子どもに英語を見につけさせたいと考えている方には、副題にあるとおり「英語力 プラス α」の外国人と同じ土俵でコミュニケーションを取るために語学力と同等に大切な「α」の部分を教えててくれます。

「家庭力」を育てよう


ある新聞の社説に「不登校の増加・家庭力、親力を高めよう」という題名がついていました。「家庭力、親力」聞きなれない言葉だけど、いまの日本の家庭に日宇t章な力なのは間違いありません。家族が一緒に時間を過ごすホームスクールの課程にとっては、家庭量=ホームスクールそのものという気もします。

医学博士の斎藤茂太(しげた)氏は、「家庭力を育てよう」という本の中で「家庭量とは一言で言えば、家族のパワーがひとつの求心力をもつことである。」と言っています。

(斉藤茂吉<精神科医&歌人>の長男が斎藤茂太。次男は北杜夫<作家>。)

「家族が一個の単位として機能しない、つまり糧威力が落ちている三大原因を私は、核家族化、少子化、家族の個人主義化だと思っている」そしてそれを克服するためには、「みんなが少しずつ我慢することが大切なんだ」と説いています。

「愛とは堪えること」で、家族は「共存する力」ではなく、「共存に耐える力」をつけなければならないとも。みなさんにとっての「家庭力」ってどんなことでしょう?

親は弓、子どもは矢

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人間に育てること』(長谷川一彌さん主催の人気ブログ「人生を豊かに生きるための『知恵・コツ満載ブログ』)を読んで私の大好きなKahlil Gibran(カリール・ジブラン)のChildrenという詩を思い出しました。私なりの日本語訳もつけてみました。


"Prophet"
<Kahlil Gibran writes: >

Your children are not your children.

They are the sons and daughters of Life’s longing for itself.

They come through you but not from you,
And though they are with you yet they belong not to you.

You may give them your love but not your thoughts,
For they have their own thoughts.

You may house their bodies but not their souls,
For their souls dwell in the house of tomorrow, which you cannot visit,
not even in your dreams.

You may strive to be like them, but seek not to make them like you.
For life goes not backward nor tarries with yesterday.

You are the bows from which your children as living arrows are sent forth.

The archer sees the mark upon the path of the infinite, and he bends
you with his might that his arrows may go swift and far.

Let your bending in the Archer’s hand be for gladness;
For even as he loves the arrow that flies, so he loves also the bow
that is stable.



あなたの子どもは あなたの子どもではない

彼らは生命そのものが望んだ息子と娘である

彼らはあなたを通って生まれてくるが、あなたから生まれるのではない

あなたと共にいるけれども、あなたのものではない

あなたは彼らに愛を与えなさい、しかし考えは与えてはいけない
彼らには自分の考えがあるのだから

彼らの体を住まわせてあげなさい、しかし魂を住まわせてはいけない
彼らの魂は明日の家に住み、あなたは夢の中でさえ訪れる事ができ
ないのだから

あなたが彼らのようになろうと努力してもよいが、彼らにあなたのよう
になることを求めてはいけない
生命は過去にさかのぼることなく、昨日に留まることさえないのだから

あなたは しなる弓であり、子ども達は放たれる矢

弓の射手は無限の彼方にねらいを見定め、力いっぱいあなたをしなら
せ矢はすばやく遠くへと飛んでゆくだろう

喜んで射手の手の中でしなりなさい
飛んでゆく矢は愛され、また留まる弓も愛されるのだから

<翻訳:SweetHeart>

日本語で翻訳本も発見したのでリンクをつけておきました。「預言者」という題で、なんだか怪しげなタイトル(英語版は表紙も怪しげ)ですが、とても素敵な詩の数々が掲載されています。

佐賀のがばいばあちゃん

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佐賀のがばいばあちゃん
島田 洋七

評判に違わない最初から最後まで涙あり笑いありで感動とともに一気に読める本でした。漫才コンビB&Bでギャグ「もみじ饅頭!」で一世風靡した島田洋七さんの子ども時代の実話です。

昭和33年、広島から佐賀の祖母の元に8歳で預けられた洋七少年(本名:昭広)と祖母との明るいド貧困生活と人情あふれる周りの人たちとの交流の思い出を綴ったものです。

たとえば、剣道や柔道がやりたいと言う洋七少年に、おばあちゃんは、お金ねがかかるなら「やめときんしゃい」と一言。スポーツがしたいなら「走りんしゃい」「走る地べたはタダ、道具もいらん」と言うばあちゃん。その言葉に乗せられて毎日グラウンドを走り続けた洋七少年は学校で一番足が早くなります。

皆が貧しい時代だったからこそ、ありえた話のような気もしますが、それにしてもばあちゃんの生き方には十分学ぶものがあると思いました。

特に、おばあちゃんの名言の数々が光っています。

「悲しい話は夜するな。つらい話も昼にすれば何ということもない。」

「人に気づかれないのが本当の優しさ、本当の親切。」

「ケチは最低!節約は天才!」

「時計が左に回ったら、壊れたと思って捨てられる。人間も昔を振り返らず、前へ前へと進め
!」

冒頭に書かれていた「幸せはお金が決めるんじゃない、自分自身の心のあり方で決まるんだ。」と言う洋七さんの言葉を納得させてくれる内容の本でした。

もともと、この本は請け負ってくれる出版社がなく自費出版するも、売れずに廃刊になっていたものが、徹子の部屋で紹介された途端、問い合わせが殺到。現在に至ったそうです。小学生でも高学年位なら読める本じゃないかと思います。


吉行和子さんが、ばあちゃん役で映画も公開されたそうです。
http://www.gabai-baachan.com/

SweetHeartのお薦め本リストはコチラ
http://www.sweetnet.com/bookj6.htm/

マザー・テレサ

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昨日、レンタルビデオで借りて見ました。子どもの頃に見たあの美しく初々しいロミオとジュリエット主演のオリビア・ハッセー(当時15歳)。久々にスクリーンで見て(50歳)時の流れを痛切に感じましたが、彼女が、素顔で演じているマザーテレサは、写真で親しんでいるマザーと無理なく重なるものがあり、十分に感動できるものでした。この映画を見て、SweetHeartで紹介したQuoteの意味がよりよく理解することができました。

People are unreasonable, illogical, and self-centered. Love them anyway.
If you do good, people may accuse you of selfish motives. Do good anyway.
If you are successful, you may win false friends and true enemies. Succeed anyway.
The good you do today may be forgotten tomorrow. Do good anyway.
Honesty and transparency make you vulnerable. Be honest and transparent anyway.
What you spend years building may be destroyed overnight. Build anyway.
People who really want help may attack you if you help them. Help them anyway.
Give the world the best you have and you may get hurt. Give the world your best anyway."
-- Mother Teresa

マザーは、この言葉を観念的に言っているのではなく、実際に自分の経験に基づいて言ったのだと理解できました。


できれば「マザー・テレサ−あふれる愛」を読んでから、この映画を見ることをお薦めしたいです。この本は、マザーの活動を10数年にわたって撮り続け実際にマザーと深い交流のあった日本の写真家が綴ったものでです。本では、時間の限られた映画では描ききれなかったマザーの子どもの頃の様子、彼女の思想の原点がより詳しく描かれています。

本の中の数ある写真の一つに日本人の商社員の奥さんが割烹着を着てマザーの活動を手伝っている姿がありました。日本の駐妻は、こんな所にもいるんだ!エライ!強い!すごい!と感動しました。

Mother TeresaのQuote

"Peace starts with a smile" 「平和は微笑みからはじまる。」

I have come to realize more and more that the greatest disease and the greatest suffering is to be unwanted, unloved, uncared for, to be shunned by everybody, to be just nobody [to no one]
--Mother Teresa
「最悪の病気と最悪の苦しみは、必要とされないこと、愛されないこ
と、大切にされないこと、全ての人に拒絶されること、自分がだれで
もなくなってしまうことだと、より実感するようになりました。」
−−マザー・テレサ

Do not wait for leaders. Do it alone, person to person
--Mother Teresa
「リーダーを待つのはおよしなさい。一人で、人から人へと行え
ばいいのです。」

"We ourselves feel that what we are doing is just a drop in the ocean. But the ocean would be less because of that missing drop."
-- Mother Teresa


In the West there is loneliness, which I call the leprosy of the West. In many ways it is worse than our poor in Calcutta.
「西洋では孤独があります。私は、それを西洋のらい病(ハンセン氏病)
と呼びます。多くの意味で、それはカルカッタの私たちの貧しさよりも
ひどいことです。」
---Mother Teresa

A Child is Born


二人目の子を妊娠中に、5歳だった長男と一緒に毎晩眺めては、生まれてくる赤ちゃんについて話しました。受精、受胎、胎児の成長、出産までをカラー写真でおさめた素晴らしい写真集です。


私”はなぜカウンセリングを受けたのか―
「いい人、やめた!」母と娘の挑戦

女優東ちづるさんの「私には青春の記憶がない」という告白から始まる。

SweetHeartのメルマガを読んでくださっている九州お住まい先生が生徒さんに好評だったということで推薦してくださいました。早速、「読書のすすめ」から取り寄せて読んだのですが、久々に本に吸い込まれるように読んでしまいました。

東ちづるさんと言えば、完全無敵の美人&才女というイメージがありますが、彼女が「アダルトチルドレン」という自分自身の心の闇に母親とともにカウンセリングを受けながら迫った記録をまとめたものです。

私はアダルトチルドレンという言葉の意味をよく知らなかったのですが、主な特徴は

▲自分を受け入れられない=「ありのままの自分」を受け入れられない。

▲自分の欲求がわからない=周囲の期待や要求に反応して行動してきた為、自分の欲求や感情がわからない。

▲本当の自分を主張できない=なにかを主張して相手に拒否されることを恐れ、自分の欲求を主張できない 。

という点で、特に小さいころから優等生として母親の期待に応えるため、頑張ってきた長男や長女に多い傾向だそうです。(アメリカではアルコール依存症の患者に、このような傾向が多いそうです。)

東さんが、カウンセラー長谷川氏とのセッションを重ねながら、「青春の記憶が抜け落ちてしまった理由」、心の奥底に長年秘められていた暗闇の謎を解き明かしていく様子や、最終的には母親も自分を変えて行く過程がとても興味深く、アダルトチルドレンでない人も、自分の深層心理を考えさせられる一冊。

散るぞ悲しき

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iou.jpg久々に深く感銘した本です。「散るぞ悲しき」梯 久美子著

左の写真、大抵一度は目にしたことがあると思います。この旗が立てられた島の名は硫黄島。アメリカ海兵隊員が島の占領を記念して星条旗を立てている有名な写真です。硫黄島は太平洋戦争末期、日本軍側の死傷者、2万1152名(内、戦死者2万129名、生存率5%)、米軍の死傷者数2万868名(内、戦死者6821名)を出した激戦地です。

数字を見てもわかるように日本の兵士は、死傷者と言っても全滅状態です。アメリカの戦死者も、日本に比べれば、はるかに少ないとは言え、第二次世界大戦で戦死した海兵隊員の内の3分の2が、この硫黄島での犠牲者でした。(アメリカ合衆国の海兵隊は上陸作戦・即応展開などを担当する精鋭部隊で、その主任務は陸海空軍が上陸する前に先陣を切って上陸を果たすことにあり、よって常に犠牲者が最も多く出ます。徴兵制度の取られたベトナム戦争の時でも、全員志願兵でした。)

たまたま私の夫と深い親交のあった大学時代の恩師ハンフリー教授という方が、硫黄島を生き残った方で(彼の十数名いた部隊で生き残ったのは二人だけだそうです)、我が家を訪れると、たまに硫黄島のことを話されていたので、硫黄島が日米の激戦地だったということは知っていましたが、今回、日本側の硫黄島総指揮官の戦いの最後の様子が書かれたこの本を読んで、改めて日本側の犠牲の大きさと、兵士達の生の苦しみ、死に行く悲しさを知り何度も涙が出ました。

硫黄島は東京とサイパンのほぼ真ん中に位置し日本にとっては本土防衛の最後の拠点であり、アメリカにとっては日本本土空襲のための発着地として最大の足がかりとなる場所でした。

日米両者の軍事力の差は、戦う前からあまりにも歴然としていました。日本兵2万余に対し、アメリカ兵6万余。想像をこえる物量の大差。日本側は戦争末期で召集された30代以上の妻子を残して出征した兵士達が多く、対するアメリカ側は歴戦の将校と士気旺盛な志願兵の若者達から成る先鋭の海兵隊。最初から万に一つも勝ち目のない戦いであった上に、日本の大本営からは米軍上陸直前に「敵手にゆだねるもやむなし」として見放され、援軍の希望も絶たれていました。

iou1.jpg島は半日もあれば徒歩で回れてしまう程の大きさで、所々で硫黄ガスが吹き出し、ハエ、アリ、アブラムシがウヨウヨと徘徊する不毛の地。川も湧き水もなく、水源は時より来るスコールを溜めた水のみ。そのような状況下、栗林は上層部の反対を押し切って隠れるところのほとんどない島に、くまなく地下壕を堀りトンネルを張り巡らせ日本軍には例のないゲリラ戦を展開し、アメリカに5日で落ちると言われていた島を36日間にも渡って守り抜いたのです。アメリカ軍に地獄のような苦戦を強い、米国ではBattle of IWO JIMAとして語り継がれ、米軍人の間でいまもGeneral Kuribayashiとして評価されている日本の総指揮官、陸軍中将、栗林忠道氏(享年52歳)。

筆者、梯(かけはし)久美子さんにペンを取らせたきっかけとなったのは、たまたま目にした栗林氏の訣別電報の中の辞世の句の中にあった「国のため、重きつとめを果たし得で、矢弾(やだま)尽き果て散るぞ悲しき」という一首。当時の帝国軍人、しかも大将が「悲しき」などという弱弱しい言葉を使うことは大変まれでした。現に、この辞世の句の「散るぞ悲しき」の部分は、大本営部によって「散るぞ口惜し」と改変され新聞に発表されました。栗林氏が敢えて「散るぞ悲しき」の一文に籠めた思い、伝えたかった真実とは、なんだったのか?

栗林氏は、地獄のような戦地から、大変まめに妻子に宛てて心細やかな手紙をしたためていました。自分は真っ暗で狭く暑い穴の中で連日に渡って行われる空襲から身を隠しながら、日本の妻のアカギレを気遣い、出征前に直すことのできなかった床の隙間風を心配し、短い間しか一緒にいてやれなかった末娘の将来を思いやる手紙を何通も書き送ります。

「たこちゃん元気ですか?お父さんが出発の時、お母さんと二人で御門に立って見送ってくれた姿が、はっきり見える気がします。・・・たこちゃん、お父さんはたこちゃんが早く大きくなって、お母さんの力になれる人になることばかりを思っています。・・・」、

「たこちゃん!元気ですか?お父さんは元気です。ゆうべも寝てすぐと明け方との二回、空襲がありましたが、お父さんは面白い夢を見ました。それはたこちゃんがおふろから上がってめそめそ泣いていましたから、お父さんは「どうして泣くの?おふろがあつかったからかね?」と尋ねていると、お母さんが笑いながら出てきて、「きっと甘いものがほしいからでょう」と言うて・・・。それだけですが、お父さんはみんなの顔がはっきり見えたので、会ったも同じようでした。」

「夫として父として、御身達にこれから段々幸福を与え得るだろうと思った矢先この大戦争で、しかも日本として今最も大切な要点の守備を命ぜられたからには、任務上やむを得ないことです。・・・最後に子ども達に申しますが、よく母の言いつけを守り、父なき後、母を中心によく母を助け、相励まして元気に暮らして行くように。・・・たこちゃんは可愛がってあげる年月が短かった事が残念です。どうか体を丈夫にして大きくなってください。」そして追伸として「家の整理は大概つけて来たと思いますが、お勝手の下から吹き上げる風を防ぐ措置をしてきたかったのが残念です。・・・」

栗林は若い頃、軍の視察にアメリカとカナダに2年間留学していました。そのため、日米の軍事力、資力の圧倒的な差を知っており、アメリカとの開戦には最後まで反対していました。(栗林がアメリカ通であったために、死地にやられたという見方もあるそうです。)しかし、手紙にも「任務上やむを得ない」とあるように、勝利も生きて帰る見込みさえもない死の島へ2万余の兵士の命を預かり送り込まれました。

iou2.jpg筆者は、そんな状況で栗林は一体、どんな目標のを持って飢えと乾きに耐えながら最後まで勇敢に戦い続けたのかに思いをはせます。当時、日本兵士は勝ち目のない戦いになると万歳三唱して敵に切り込む「バンザイ突撃」を行い潔く散ることが慣例のようになっていました。トンネルの中にガソリンを流し込まれ火炎放射器で焼き殺されるよりも、思い切って飛び出して潔く散ってしまった方が、きっと楽だったに違いありません。しかしながら、栗林はバンザイ突撃を強く禁じ、潔い死を選ぶ変わりに、死よりも苦しい生を生き、戦い抜くことを部下にも自分にも課します。目標や希望なくしては、とてもできなかった戦い方でした。

栗林は、家族に宛てた手紙の中で何度も以下のようなことを書いています。

「もし私のいる島が敵に取られたとしたら、日本内地は毎日毎夜のように空襲されるでしょう。」「東京大空襲の前提としては、父のいる島が敵に取られるということで、言い換えれば父が玉砕したということである。」・・・と。つまり栗林は、日本の家族への危害を一日でも一秒でも遅らせるために必死に島を死守しようとしたのではないか?

全米ベストセラーとなった「硫黄島の星条旗」の著者J.ブラッドリーは、栗林が、苦しいゲリラ戦を決意した背景には、栗林がアメリカ人気質を熟知していたからだと分析しています。ベトナム戦争においても、今のイラクとの戦争でもそうですが、アメリカ国民は、何よりも人的被害を重く見るので犠牲者が多くなるに従い、たとえ戦況が有利でも段々と厭戦気分が高まるとともに、政権者への批判も高まり、戦争を早く終結させようとします。栗林は、そのようなアメリカ世論を考慮し、勝ち目はなくとも、できるだけ相手に人的被害を与え、アメリカの世論が、日本との戦争を早く終わらせようと望むことを期待したのではないか。

iou4.jpgまた、筆者梯は、さらにこう付け加えます。栗林の、そのような目論見の背景には、できるだけ硫黄島でアメリカを引き止めることで、愛しい家族達の住む本土への空襲を遅らせ、日本が戦争終結を考慮する時間を稼ぎ、敵に甚大な損害を与えることで、日本が有利な形で終戦交渉の席につける、という心積もりがあったのではないか。2万余の兵士達全員が、同様の気持ちを共有していたからこそ矢弾尽きるとも命の一滴まで戦い抜けたのではないか。ただ、最大の悲劇は、栗林の最後の願いはむなしく、日本軍部の上層部は、その方針を変えることなく、本土は焦土と化したこと、確かにアメリカでの厭戦ムードは高まったけれども、アメリカは戦争を早期終結させるべく、栗林が想像だにつかなかった原爆の使用に踏み切ったこと。

戦後、遺骨収集団の方たちが見つけた戦没者のポケットの中には家族や子どもの写真や手紙を抱いていたものがたくさんあったそうです。そして今でも多くの兵士達の遺体が回収されることなく硫黄島の土の下に眠っているそうです。栗林の遺骨も共に戦った部下達とともに硫黄島の土となることを望んだ栗林が、最後の攻撃の際に軍服の身分証などを全てはずしていたために、発見されることがなかったそうです。
SweetHeartのお薦め本リストはコチラ
http://www.sweetnet.com/bookj6.htm/

大陸の花嫁

--後世にあの悲惨な戦争を語り継ぎ平和を願う81歳の女性--


以前SweetHeartのメルマガで連載許可を頂き大きな反響のあった「生かされて生き万緑の中に老ゆ」(NHK学園三十周年記念自分史文学賞大賞受賞作品)を、再編集して自費出版を続けておられましたが、ついに岩波現代文庫から出版されました。

井筒さんのHP(http://www.balloon.ne.jp/453room/)に出会ったのは、たまたま第二次世界大戦のことをネットで調べていた時でした。ネット上にはそう多くはありませんが、実際に戦争を体験した方々(もちろん、もうかなりの御高齢の方々です)が、手記を発表なさっており驚きました。南方戦線での惨状、シベリア厳寒での抑留生活の生々しい様子が書かれた手記の数々。その中でも、とりわけ、心を揺さぶられたのが井筒紀久枝さんという80歳の女性の手記でした。

数年前にNHKでもテレビ放映された、山崎豊子さんの「大地の子」でも、当時の開拓団の様子は、詳しく描かれていましたが、井筒さんの手記は実際に、そこにいらっしゃった方のものとして、また、幼い娘を抱えて必死に生き延びようと、故郷日本を目指して異国の地をさまよわれた母親の立場から書かれているため、ことさら共感を覚えます。最後のページを読み終わり本を閉じながら、平和の大切さを心から願いました。

一部引用

「満州国崩壊」より
・・・・敵国の真っただ中で祖国の敗戦を知った私たちの間で、いろいろな意見が飛び交い、自決組と自決反対組に分かれた。国民学校校長の坂根先生は自決組の先頭者で、教え子や義勇隊の女たちはそれに賛同した。生きて敵に辱めを受けるより、敵に殺されるより、自分の意思で命を絶とうと思ったからである。

 八月二十日、その日は清美の満一歳の誕生日だった。その短い命を詫びながら、その子にも白鉢巻きをさせた。午前十時、学校へ集まって坂根先生の銃で殺していただく、校舎には石油が撒かれ、最後に、先生が火を放つことになっていた。・・・・

「越冬、興隆開拓団」より

・・・・夜中に非常呼集があり、歩哨に出なければならず、後追いして泣く子にかまけていると、「子どもは処分してしまえッ、突き殺すぞッ」と追い立てられた。子どもに心を残して歩哨に立つ、といっても防寒靴が地に凍りつくので、足踏みしていなければならない。吐く息で防寒帽に氷柱がが下がった。足踏みしながら天を見上げた。天は下界に何が起きようと、月は晧々と輝き、星は満天にきらめいていた。この天の下に日本がある。故郷がある。許されなか
った恋を諦め、人を恨み、何もかも忘れたくて捨てて来た故郷が、無性に恋しかった。・・・・

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井筒さんの「戦争の悲惨さを語り継ぎ、平和を願う」気持ちが半年前に無残にも引き裂かれてしまったことは本当に残念なことです。

以下は井筒さんの今年度初頭の言葉です。

(前略)「21世紀は戦争のない平和な世に」の願いを込めて完成させた戦争体験記。予想以上の大きな反響に、嬉しい悲鳴をあげていたのもつかの間。まさに、あの忌まわしい戦争の世紀に逆戻りするかのような世の動きに、無力感と脱力感を感じます。これからも生きている限り、平和を願い、戦争の愚かさを語り継いでいきたいと思います。

凍土の約束


凍土の約束―50年かけて果たしたラーゲリの誓い

NHKの特集番組として見て感動して手に入れた本。

戦後、ソ連によって捕虜として極寒の地シベリアに連行された軍医だった渡辺さんが、死と隣り合わせの抑留生活の中で1人のルーマニア人の青年、アールヒップさんと出会い友情を育む。その後、アールヒップさんは、誰も生きて帰った者はいないと言われている、さらに北の果ての収容所に送られることになる。護送される前の晩、アールヒップさんは、渡辺さんの元を密かに訪ね、母国に残してきた 許婚に渡すつもりだった金の指輪を託す。必ず君は生きて帰って、婚約者にこの指輪を届けて欲しいと言うアールヒップさんに、渡辺さんは自分の着ていた衣服や下着までもアールヒップさんに手渡し、なんとしても生き抜いて欲しいと涙を流す。

時を経て、ルーマニアの独裁政権が倒され、渡辺さんの手元に「大日本帝国・・」と拙い字で書かれた一通の封書が届く。そして、ついに渡辺さんは死の床にあるアールヒップさんのいるルーマニアへと旅立つ。

時と空間、人種を超えて、出会うはずでなかった二人が時代の波に翻弄されつつも出会い、極限状態の中で友情を育み、再開を果たす姿が何よりも感動的でした。


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SweetHeartの掲示板を通して、かなり前から親交のあるオーストラリア・ブリスベン在住のみどりさんが書かれた本「オーストラリアで暮らしちゃお」です。

オーストラリア暮らしのノウハウが全てこの一冊に凝縮されて言っても過言でないほど実際にオーストラリア生活をはじめようとする人のために役立つ情報が満載です。アマゾン、Yahoo Books、楽天ブックス、BK1などで買えます。

本の目次

お堅い話編  国際結婚の心構え  お買い物編  クッキングインOZ  健康編  子育て編  ブリスベンの自然編  ハウス編  ブリスベン歳時記  学校教育編  日豪トラベル編  エンターティメント編  OZ・OZ・OZ!!  おススメ ウェブページ

運命の法則

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運命の法則「幸運の女神」と付き合うための15章ロボット犬『AIBO』の生み親が教える、幸運の育て方ソニーの第一線で活躍し続けている科学者が、研究生活を通じて発見した"目に見えない流れ"に乗るためのヒント

毎年、日本に帰る度に旧友が一冊本をプレゼントしてくれるのですが、今年の一冊がこの本でした。サブタイトルだけを読むと、ちょっと経営者向けのお堅い本に思われがちですが、十分子育てや毎日の生活にも役立つ知恵がたくさん盛り込まれています。

特に私が惹かれた部分は"「内発的報酬」による人生"について書かれている部分です。

人間は、おぎゃあと生まれてから、自我の確立にいたるプロセスがある。それは初期自我(自分の本能、感情、思いがストレートにそのまま行動につながらう)、中期自我(親のしつけや他の大人から受ける社会的規制から、良心や道徳観のようなものを内面化し、そのコントロールが強くなる。親や大人のコミュニティーに対して、被保護-服従-依存の関係を保っている)、後期自我(反抗期などをへて、親に対する依存関係を解消し、精神的な自立を獲得する)、成熟した自我(世俗的な評価はあまり気にせず、心の底からこみ上げてくる喜びや楽しみ-内発的報酬-に素直に身をゆだねるようになる)の四段階で、筆者によると最後の成熟した自我まで行き着く人はまれだそうで多くの人は後期自我の段階で止まってしまっているそうです。

つまり多くの人は「外発的報酬」中心の人生を送り、金銭、地位、名誉などに向かって、しゃにむに突進する、それに成功すると、社会の指導層に登りつめる理性的な自我ということです。

今の社会は、小学校の教育から、精神的自立を叩き込まれ、後期自我へ早く到達できるように
できている(特にアメリカでは)けれども、成熟した自我に到達するためには、欲得抜きで何かに夢中になる経験が必要だと説いています。つまり世俗的な評価をもたらす結果を考えずにプロセスそのものを大切にする姿勢こそが成熟した自我への道だというのです。(日本の場合は、かつでの企業や上司べったりの依存型経営スタイルにより中期自我にとどまった一生を過ごす人が多かった一方、能力主義ではなかったために内発的報酬によって動く機会も多く成熟した自我を持つ人の比率も多かったということです。・・・「プロジェクトX」に登場する人物達は、後者が圧倒的に多いと感じます。)

内発的報酬によって行動できる人間、成熟した自我を持った人間を育てる・・・これは、まさに私達が子育ての究極のゴールとして考慮すべきことではないかと思いました。

他のSweetHeartの「お薦めの本」をご覧になりたい方は「心がうるおう本」へどうぞ

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