ミュージカル南太平洋

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minamitaihei.jpgミュージカル、サウス・バシフィック(南太平洋)を見て来ました。

第二次世界大戦中、日本軍と対戦しているアメリカ兵士たちが駐留する南太平洋の島が舞台なので、ジャップという言葉が何度か聞かれますが、ストーリーは基本的に、人種に対する偏見を乗り越えるラブストーリなので、全く気にはなりません。

むしろ、1949年、まだ公民権運動(1950年代)も起こっていない時代、有色人種は白人と公然と分離されていた時代、2008年に初の黒人大統領が生まれるなどとは誰も夢にさえ思わなかった時代に書かれたミュージカルであるということを考えると、かなり当時としては先進的かつ先見の目を持った物語だと感じます。

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南太平洋の美しい小島。従軍看護婦のネリーは、島のフランス人農場主エミールと恋に落ちます。エミールの妻は現地のポリネしア娘で二人の子供を残して5年前に亡くなっています。

若くてハンサムなケーブル中尉が、激戦区に潜入し日本艦隊の居場所を的確に把握するという自殺行為的な密命を帯びて島に赴任し、そこで島の娘と恋に落ちます。

従軍看護婦ネリーは、フランス人農場主エミールがかつて有色人種と結婚していたという事実を知った時、彼女の心の中の人種偏見が邪魔をして、エミールの求婚を拒絶してしまいます。そしてケーブル中尉も、人種偏見から現地娘との結婚に躊躇します。

ネリーは、この偏見は生まれつきのものであり、どうしようもできないと言うのですが、ケーブル中尉は、「偏見は生まれつきのものではない」と言って歌う曲が"You've Got to Be Carefully Taught" です。非常に短く、他の数々の有名な挿入歌に比べたら、あまり重視されていない曲ですが、最も深い歌詞だと思いました。

You've got to be taught to hate and fear
You've got to be taught from year to year
It's got to be drummed in your dear little ear
You've got to be carefully taught

You've got to be taught to be afraid
Of people whose eyes are oddly made
And people whose skin is a different shade
You've got to be carefully taught

You've got to be taught before it's too late
Before you are six, or seven, or eight
To hate all the people your relatives hate
You've got to be carefully taught!
You've got to be carefully taught!

調べてみたら、やはりこの歌には、製作者の並々ならぬ思いがこめられていることがわかりました。

当時、この歌は適切ではない、異人種間結婚を正当化しアメリカ人のライフスタイルを脅かすもの、共産党のプロパガンダ、とまで言われ激しい批判の対象になったそうですが、このミュージカルの製作者はこの曲を省くのなら、上演自体を取りやめる、たとえこの歌のためにショーが失敗に終わったとしてもこの歌を挿入する、この歌こそが、このショーの意味である、と断固主張し、この歌は残されたということです。

好きな人の前の奥さんが有色人種だというだけで、大きなショックを受け、結婚を躊躇うなんて・・・と思いますが、当時の人種偏見がどんなに根深いものであったかがうかがわれます。

ミュージカルのストーリーに話を戻すと、後半、ケーブル中尉は、生きて帰れたら現地娘と結婚し、島に残ることを心に誓い、任務遂行のため激戦区へと向かいます。ネリーは、自分の非を悟り、エミールの家へ行きますが、既にエミールはケーブルの任務を助けるために、ケーブルとともに激戦区へと向かった後でした。

やがてケーブルの戦死が伝えられ、エミールの消息は知れず・・・・。ネリーはエミールの家で残された二人の子の世話をしながらエミールの帰りを待ちます。そして・・・


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欲を言えば、中尉ケーブルと現地娘が出会ってから愛し合うまでが、ほんの10秒位だったので、もうちょっと深くその過程を描いて欲しかったと思います。(多分、原作ではもっと詳しく描かれているのかもしれません。原作者は、「サヨナラ」を書いたJames A. Michener)でも、当時のミュージカルとしては、やはり白人の目を通して人種偏見問題を扱うのがやっとだったのだと思います。

ケーブル役の俳優さんがカワイイし、セクシーだしナイス・ボディーです。(シャツを脱ぎ捨てるシーンが最高!)もっと彼を長く見たかった!!

 

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