病児保育

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 我が家の息子も娘も保育園育ちである。ずっと私が仕事を持っていたからである。子どもが病気をしたとき、一番困ったのを覚えている。特に大阪に出張、クライアントと会う予定、出版社にはじめての企画をプレゼン、講演にいく、どうしても断れない、など休めない事情はいくらでもあった。そんなとき、特に朝、子どもが高熱、子どもが吐いた、前の晩眠れずに咳をしていたなど子どもをどうしても保育園に預けられない事態になったときは実に困った。近くに親戚はいない。私の母は仕事をもっていた。義母はからだが弱かった。妹も仕事を持っていた。まだ引っ越したばかりの頃は頼れる友達もいない。やっぱり友達には病児は預けられない。しかも彼女のところにも小さな子どもがいた。ベビーシッターは予約でないとすぐはきてくれない。夫は「なんでおまえの仕事のために俺が仕事を休まなくちゃいけないんだ。」という姿勢。自分の仕事の方が重要という姿勢、出張もある彼。途方にくれたが、いらいらしても、泣いてもいられない。9時18分の急行に乗らないと間に合わない。
 
 やむをえずだまって保育園に預けたときもあった。けれどもそういうときは必ず迎えに来てくださいの電話がはいった。どうしても今すぐには帰れないということで友達にその後預けたときもあった。小学生のときは一人で家においておいたこともあった。もちろんしょっちゅう電話を入れた。いっしょにいてあげられず胸がはちきれんばかり罪悪感をもって子どもを預けたこともあった。そんな時、病児保育があったらとどんなに望んだことか。
 
 今、日本では厚生労働省が子育てと就労の両立支援策として実施している「乳幼児健康支援一時預かり事業」があり、2002年5月末では全国で211ほど用意されている。増えつつある。施設によっては行政からの委託を受け、その区に住んでいれば利用額が1日2000円くらいですむ。生後7ヶ月から小学校3年生までというところもある。年齢はやはり1才児が一番多く、続いて2歳、0歳だそうだ。保育園と連携した施設もあり、ドクターがバックアップしているとなると安心だ。
 
 中には働いていない母親でも利用することがあるという。つまり、子どもが3人もいると病気の子どもだけに関わっていられないという。ましてや前の晩寝ずの看病をした後は、他の子どもの世話も病児の世話もできず、お母さんが倒れてしまうという。昼間ちょっと寝れば夜に備えられるという。
 
 しかし、病気の子どもを親元から裂く国は豊かな国といえるだろうか?子どもからしたら、病気のときほど心細いときはないはずだ。両親のどちらかがその子についていて上げたらどんなに子どもの心も守り、からだも早く回復することだろうか。病児保育には多ければ6人も病児を預かるという。ということは、子どもは他の病気にもさらされるわけだ。
 
 世界の子育て支援を研究してきて、フランスでは最高3年の育児休暇がとれる、北欧は夫婦あわせて何年か育児休暇がとれるほか、子どもが病気のときは有給休暇をもらえる。しかも両親どちらがとってもよい仕組みだ。日本でも1年の育児休暇がとれるはずなのに。アメリカでも親の介護、子どもの病気で有給休暇を年に何日か取れる。講演者が突然子どもの事情でキャンセルすることもある。このように見てくれるとやはり子どもの立場にたった対応が一番望まれるのではないかと考えた。

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