永住組にとっての日本人補習校

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 日本人補習校。アメリカだけでも日本人補習校はなんと100校近くあるのです。そこの日本人の子ども達の実態はあまり一般的には知られていません。中学、高校になるとほとんどの子どもたちは現地で生まれ、現地で育った子ども達です。補習校にはもう15年17年と通っています。中等部、高等部となると日本に帰国する生徒のほとんどは帰国してしまったり、あるいは塾に通うようになり、補習校からは身を引いてしまうのです。さらに補習校には現地で育った子ども達の日本語力と日本の受験に向かう帰国組の子ども達とでは日本語力に大きなギャップが出てきます。そのようなことも原因でいわゆる永住組の子ども達が主になっていきます。
 
 これだけ長い期間現地に住んでいれば当然日本語はほとんど話せず、英語は現地の子ども達とほぼ同等だと思われると思います。しかしこれらの家庭には共通点があります。これらの家庭のほとんどは両親共に日本人、あるいは母親のみ日本人というケースが多く、どの家庭でも日本語教育をしっかりと教育方針に子どもが生まれたときから据えてきました。私が驚くことはほとんど補習校しか通っておらず、家庭では日本語を日本人の母親あるいは父親としか話してないにもかかわらず、発音はとてもきれいで、しかも作文も書け、中学、高校の教科書も読め、漢字も書け、外から見たら日本で育った日本人かと誤解するほどです。中身はかなり現地の子どもでありながら、しっかりと日本人の部分を備えています。
 
 皆さんの中には永住組の方が多くいらっしゃると思います。是非、バイリンガルに育てたいと思っていらっしゃるでしょう。しかし、子ども達にとってはバイリンガルという得点以上に、日本人、日本語は彼らのアイデンティティーなのです。そのためそのアイデンティティーをいかに育てるかは親に任されています。とっても大切なアイデンティティーです。漢字がたいへん、もうついていけないと弱音をはく時期にも必ずぶつかります。しかし、彼らにとって補習校はある意味で彼らが彼らでいられ、同じような境遇の仲間と時間を共有できる唯一の場であります。そのようなことも含め、是非継続にチャレンジしてください。最後に自称16年間補習校に通った中学3年の菊池くんの答辞をここに抜粋して記します。
 
 「初めて一人で日本に行ったとき、そこは新鮮な驚き、感動の連続でした。僕は日本を訪れるまで自分から日本について知りたいと思ったことがありませんでした。中等部の歴史は苦手で、その授業中の僕の頭は寝ていました。いま、とても後悔しています。これから高等部に進むにあたり、新たな気持ちで日本を学んでいこうと思っています。現地校の友達にゲームや電子機器だけでない日本を伝えて生きたいと思います。
 
 最後になりましたが、補習校の勉強にはあまり熱心とはいえなかった僕を温かく見守り、指導してくださった先生方に厚くお礼を申し上げます。そして、お父さん、お母さん、ありがとう。特に僕より長い間、補習校に通い続けたお母さん。今日はお母さんの卒業式でもあります。本当にありがとうございました。」

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