2009年6月アーカイブ

隣のライバルー人間の悲しいサガ

私の住んでいるS区と隣のM区の学校は、何かにつけて対抗意識を燃やしています。フットボールの対抗試合が近くなると車の窓に"Beat S"、"Beat M"などと白い簡易ペイントで書いた車も見かけるようになります。

最近ではS区の中学生がM区の中学生に喧嘩を売られ乱闘の末一人が鼻の骨を折った、などという実しやかな噂まで耳にしました。

念のため書いておきますが、S区もM区もごくごく普通のアメリカ郊外の似たような町です。

大体S区とM区が争う理由など、何もないのです。唯一の理由は「お隣同士」という理由のみ。(仮に昔に何かあったのだとしても、今ではその理由は忘れ去れているのに、お互いにいけ好かないう意識だけが代々引き継がれて残っている場合もあるのかもしれません。)

日本でも隣町の中学生の不良同士が喧嘩騒ぎなどという話は、何度も耳にしたことがあります。

町境、県境、そして国境を隔てて理由なき対抗意識を持つのが人間の悲しい性なのかもしれません。または両面のコインで、人間は一定グループへの帰属意識を強く持ちたいと思っているものですが、そう強く思えば思うほど、他のグループを嫌ったり、競争意識を持ったり、排除しようとする力も強くなってしまうのかもしれません。

日本Vs韓国、ドイツVs.フランス、イランVs.イラク。お隣同士でいがみ合っている国がたくさんあります。これは国同士の覇権問題もあるのでしょうが、隣同士仲の良い国を見つける方が大変なのではないでしょうか。

ロミオとジュリエットはお互いの家、モンタギュー家とキャピュレット家の諍いの末に若い命を散らしたわけですが、シェークスピアはそんな人間の愚かさを見抜いていたんでしょうね。

雨の鎌倉&スーパー主婦

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kamakura.jpg【鎌倉デビュー】

数日前にも書いた通り、日本は新型インフルエンザで集団大パニックを起こしている時ではありましたが、そんな中、短いながら里帰りを果たし、親しい友人達と鎌倉に行って来ました。

鎌倉にはずっと行きたいとは思っていたのですが、毎年、日本に帰るのは皮膚呼吸ができないほど蒸し暑い真夏で、クーラーのある所以外は、どこにも行く気力がありませんでした。

今年は短いながら初めてクーラーも暖房も要らないという時期に帰国することができ、念願の鎌倉を訪れることができました。

あいにくの雨だったのですが、「鎌倉は雨もまたよし。」新緑が雨に濡れて実に美しく印象的でした。アジサイも咲き初めていました。アジサイはアメリカにもあちこちの庭に咲いていますが、やっぱり日本で見るアジサイはどこか可憐です。

以前、日光を訪れた夫が、「日本の自然はたとえば木々の葉、一葉にしてもどこか繊細で、アメリカの自然のダイナミックさとは全く違うものがある」と言っていたのですが、その通りだと久々に日本の自然の中を歩いて思いました。

又、普段の鎌倉は観光客がゾロゾロと狭い道を列を成して歩き、あまり情緒がないとのことでしたが、その日は雨のおかげで観光客もかなり少なく、久々に日本の情緒をたっぷりと味わうことができました。

 

【スーパー主婦】

ところで、一緒に行った友人の一人は神奈川県の農家に嫁いでいます。農家の嫁は大変だと聞いたことはありますが、彼女の日常も半端じゃなく大変です。

朝は、5時ごろからまず飼っている鶏やら孔雀やらの餌やりから始まり、朝食は子ども達、夫、舅姑の朝ごはんの仕度。それぞれに時間が違うので味噌汁を温めること3回。

その後、掃除洗濯、季節によっての農作業。春先などは地下足袋履いて裏山の急斜面にはいつくばって登りながら筍堀をするんだそうです。(地下足袋を履くのは足の指で筍を探し当てるため(^^;

通称竹寺、報国寺でも竹を見ながら「あの竹は今年出た若竹。見分け方は・・・」「あっちは結構古い竹、なぜなら・・・」などと、さすが農家の嫁の解説は視点が違ってためになる、ためになる。

蚊に好かれる私が、いきなり顔を食われた時も、「あの貯め水の中にボウフラがいるから。金魚やおたまじゃくしを入れてやるといいのよ。」と私には考えも付かないスーパー主婦の常識コメントに、ただひたすら感心・感心の連続でした。

彼女の1年は、もちろん田植え、稲刈、野菜作りなんでもあり。今回も自宅の畑で朝取れたばかりという空豆をゆでて持ってきてくれました。(おいしかった~)

毎年、取れたお米は少し分けておいて、自分で米麹から作って、味噌も自家製。

その上、町の顔役なので、色々な町内会の雑事もこなし、こどもたちの学校の役員もやり。

夜も、家族それぞれの帰宅時間に合わせて3度の食事の準備。やっと家事終わると11時。そこから、趣味のブログをやって・・・

「一体、毎日睡眠時間、どの位よ?」

と聞いたところ、「4時間」との答え。ひっくりかえるほどビックリしました。

なんと言っても、結婚してから一度も寝込んだことがないそうです。38度の熱があってもお姑さんが「早く終わりにして寝なさい。」と言うんだそうです。

えらい!!!えらすぎる。同じ平成の御世に住んでいるとは思えません。

【上記スーパー主婦のブログー姫のつぶやき】

農家の嫁の日常生活が写真たっぷりで紹介されてます。

鎌倉プチ旅行の美しい写真をたくさん掲載してくれてます。この日もカメラマン役、運転手役、ツアーガイド役、全てをやってくれました。もう彼女に足を向けて寝られません。

http://plaza.rakuten.co.jp/hime3516/diary/20090523/  から見ると農家の嫁がプチ旅行に行くのも、どんなに朝から大変かがわかります。

社会に教えられた幸せ

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一流企業のサラリーマンを辞め、禅僧になった方のコメントから。

ある本の中にあった、以下のような考え方に衝撃を受け、仏教に興味を持ち、やがて僧侶になってしまったそうで。


☆☆幸せとは☆☆

社会には「これが幸せですよ」というモデルがあって、私達はそのモデルに取り組みがちで、そのモデルに乗れば幸せだ、と。「でもそうじゃないでしょ」と仏教は言っていると思います。「それは、あくまでも社会から教えられた幸せであって本当のあなたはどうなの?」と。

☆☆

【社会から教えられた幸せモデル】

特に今の世の中メディアの影響が大きいかな、と私は思います。テレビや雑誌ではいわゆる「社会の幸せモデル」をガンガン突きつけてきます。たとえばメディアで紹介される社会的に成功した人達の話題、インタビュー、テレビや映画に映し出される虚飾と幻想の世界。

知らないうちに幸せとは、こういう場所に行って、こういう生活をして、こういう食べ物を食べて、こういう洋服を着て、こういうバッグを持って、こういう学校に入って、こういう職業について・・・・そうすれば幸せだと洗脳されているような気がします。特に、現代人、そして子ども達は、ありとあらゆる情報が渦巻く情報のトルネードの中にいて、自分の本当の幸せとは何なのか見えなくなっているし、一歩立ち止まって考える時間さえないのではないでしょうか?

息子達を見ていても、まったく何もしない、ぼーっとしている時間がほとんどないと感じます。空いた時間があれば、テレビを見るか、ネットをするか、Ipodを聞くか・・・必ず何かのメディアで埋めています。

ある時、ふと気づけば全ての時間が消え、年老いていて、ぼくの(私の)時間は一体どこに行ってしまったの?ということになるのではないでしょうか。

あー正に Michael Endeの本 「モモ--時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語」の世界ですね。

5月19日から日本に滞在して昨日アメリカに戻ってきました。なんと日本到着便はコンチネンタル便で関東の二人の高校生たちと同じ飛行機でした。そんなこともあり滞在中は日本のインフルエンザ狂想曲に、かなり振り回されたのですが、私が見て感じたことをレポートします。


【アメリカの空港で】

両親が「絶対マスクをしてきなさい」とうるさいので、一応看護婦の義理の妹にもらったN95マスクをバッグの中に持参してはいましたが、アメリカの空港では、マスクをしている人は皆無で、とても自分だけマスクをする雰囲気ではありませんでした。一人でつけたら余計皆に病気もちだと思われて恐れられてしまう感じがしました。

【成田空港で】

飛行機が成田に到着した途端に検疫官たちが乗り込んできて、スムーズに検疫は行われていきました。私の場合、今回とても悪い予感があったため、直前でマイレッジがたまっていたので、座席をアップグレードすることにしたのですが(結果的には大正解でした)、飛行機がガラガラだったせいもありビジネス・ファーストの一番前の一番端に席を取ることができました。

成田に到着してすぐ検疫官がゾロゾロと、まるでETの映画の中さながらの格好をして乗り込んで来ました(ETとエリオット少年が無菌室に隔離された場面覚えていらっしゃいますか?)。面白がって携帯写真を撮っているアメリカ人もいましたが、すぐに放送で「検疫の妨げになるので写真はおやめください。」との報道がありました。着陸前に黄色い紙に現在の健康状態と日本での連絡先を書きこんでいたので、それを検疫官に渡しました。

検疫は一番前の席からでしたし、検疫官がエコノミーの席に移動して行って少し経った後、20分ほどで先に外に出ることができたので、後の様子はどうだったのかはわかりませんでした。空港はいまだかつてないほど閑散としており(GWの終わったオフシーズンということもあったと思います。)、全くどこにも並ぶことなくスルスルと外まで出ることができ、あー無事に隔離もされずに出られたと正直ほっとしました。

インフルエンザに関する報道が、一番すごかった時なので親もかなり心配していたので、成田からすぐに連絡をいれておきました。成田から埼玉の実家まで、結構マスク姿の人がいるなーと思いました。

家について就寝前にメールのチェックをしたところで、4日後に会うことになっていた友人の2人(二人の夫は同じ会社に勤務)からのメールで「夫の会社で家族も含めアメリカ帰りの人とは接触してはいけない、というお達しが出たので、会うことができない」というメールが入っており、かなりがっかりな気持ちと「アメリカ帰りは、ばい菌扱いか?」という少し腹立たしい気持ちが交叉して悲しい気持ちになりました。

【翌朝から】
そして翌朝、県の保険職員の方から、そしてその後に市の保険職員の方から電話があり、「発熱した川崎と八王子の高校生たちが同じ便に乗っていたことがわかりました。席はかなり遠く濃厚接触ではないので、大丈夫だとは思いますが、これから7日間、体調のチェックのために毎朝9時半に連絡いたします。外出はなるべく控えてください。」とのことでした。もし席をアップグレードしていなかったら、濃厚接触者になってどこかに監禁されて数日泣いていたかもしれません。

マスクが、どこに行っても売り切れ。修学旅行の相次ぐキャンセル。インフルエンザにかかった高校生の学校の校長が涙を流しなが「社会をお騒がせしてすみません」と会見し、インフルエンザにかかった人の足取り、利用した交通機関、駅前からのテレビ中継が行われ、まるでばい菌以上の犯罪者扱いに近い状態だと思いました。この頃がインフルエンザ騒ぎがピークだったと思います。

友達からのその日のメールに、「このような扱いでは、たとえインフルエンザにかかっても申告するのは勇気がいるよね。黙っている人もきっと多いんじゃない?校長があんなふうに泣いてお詫びしちゃったら、感染した本人たちは、まるで罪人になったみたいに、もっといたたまれない気持ちになるよね」とありましたが、私もそのとおりだと思いました。

情報開示が大切と言っても、プライバシーが全く守られていない気がしました。確かに、名前だけは公表されないものの、ご近所さんには絶対にわかるような報道の仕方です。もし、私がインフルエンザにかかっていたら、滞在先の両親にどれだけ迷惑をかけていたかと思います。村八分だってありかもしれません。実際、インフルエンザ感染者が出た東京や関西の学校では、脅しのメールや電話がかなりあったそうです。ちょっとトチ狂っていると思います。

翌朝、毎朝9時半にかかってくるはずの保健所からの連絡が11時頃になってかかってきました。その前日埼玉でも京都の旅行帰りの男性が発生したということでパニックになった市民が保健所に電話をかけまくったため、その対応に追われてしまったとのことで電話口の職員の方が謝っておられました。

そして、その数日後に政府の方針がいきなり大転換。空港検閲はなくなり、濃厚接触者として空港に隔離されていた人達が解放されました。(結局、舛添さんが大パフォーマンスで連呼していた水際作戦で確認できた人数は10人以下、その数倍もの人が成田に監禁され、ウィイルス対策感の準備期間を稼げたとかトンチンカンなことを言っている間に、関西では既に3桁の感染者が出ていたわけです。戦時中に育った人は、舛添さんのパフォーマンスはまるで大本営の戦況情況発表のようだと言う人もいます。)それと同時に、各都道府県、各企業での個々の対応となり、異常に厳しい所と全然そうでない所の大きな差が生まれたようです。

たとえば、私に会うなと言った友達のご主人の会社は、会社オフィス内への外来者の入室の禁止。関西方面への出張見合わせ、海外出張の後は7日間の自宅待機。とすぐにお触れが出たそうです。でも、それぞれまったく別の会社に勤める学生時代からの友達など8人の会社では政府の緩やかな対応に順じ、海外出張も開始、関西社員の出入りも通常化したとのことでした。

埼玉市の学校では高校生の京都への就学旅行が永久中止になってしまいました。でも、横浜在住の友人の話では、横浜市は修学旅行中止にはなっていないそうです。

政府の水際作戦中止の発表あたりからは、マスクをしている人たちの数も激減していきました。新聞のインフルエンザの扱いも、いきなり数行になりました。でも、数日前にメキシコから帰ってきた児童の体験入学を断った学校があったなどと、小さく記事が出ていたりしました。

関西への一般旅行、および修学旅行のキャンセルが相次ぎ京都市の市長や大阪府が政府にその窮状を訴えた頃、麻生総理大臣が、「皆さん冷静な対応をお願いします。」と10秒ほどの全く説得力に欠ける、くさーいテレビCMを流し始めました。騒ぎを大きくしたのはお前達だろ!とテレビに向かって呟いてしまいました。

さらにインフルエンザの報道が激減しました。あの大騒ぎはなんだったの?状態です。

私が日本出国前に見た最後の報道では「政府は、修学旅行実行を推奨しまう。」と出ており、あの自粛と水際作戦パフォーマンスは本当になんだったのか?と怒りさえ感じます。せっかくの日本旅行に来て空港に7~10日間監禁された人はもっともっと腹立たしい思いでしょう。

インフルエンザ騒ぎは沈静化したとは言え、これから里帰りの時期を迎え、お子さんの体験入学を考えておられた方は、かなり心配していると思います。これは、私の一意見に過ぎませんが、情況は私が滞在した2週間のみでも刻々と変わったので、幼稚園、学校や市の教育委員への問い合わせも、もう少し様子を見てはどうでしょう。さらに対応も違ってくるのではないかと思います。

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