2008年2月アーカイブ

ainsh.jpgアインシュタインがこの世を去ってから、もうすでに半世紀以上経っています。過去50年といえば、すさまじい量のテクノロジーの発展を見ました。特にその後半は、コンピューターとインターネットによる世界的革命があり、私達の生活は大きく変わりました。

にもかかわらず、アインシュタインが発見した公式E = mc2をくつがえすような偉大な発見は未だ存在しません。こんなに簡単な公式の中に、宇宙の秘密が隠されているなんて、想像もつきませんし、その簡素には、アインシュタイン自身にも感銘を与えました。

アインシュタインの巧妙さは、それまでの観点から脱出することにあったのです。ある物体が自分に迫ってきたら、アインシュタインはそれを自分が物体に迫っていくのと同じであるという相対的な考えをしました。エレベーターを吊っているロープが切れたら、中にいる人は、エレベーターと共に落ちるというより、重力を感じなくなると見たんです。確かに、地上に立っていれば、地球の重力を感じますが、地球に向かって落ちる人は、重力を感じません。

アインシュタインの重大な発見の一つは、動いているものを地上から見たとき、例えば宇宙を旅する宇宙船の中では、光がゆっくり動くということでした。しかしながら、アインシュタインはその当時、光の速度は一定であると、信じていたのです。光の速度が一定なのに、宇宙船の中では光がゆっくり動くという観察をしたとき、彼は、光の速度は変わっていないが、時間がゆっくりになっているのだと、考えたのです。つまり、動いている宇宙船の中では、時間がゆっくり動いていて、そのために、光もゆっくり動くと考えました。それまで時間は一定の速度で動いているものであると、信じていたのが、彼の考えによって、「時間の速度はその場による」ということになってしまいました。

アインシュタインはこのようにして、宇宙の法則を発見していくのだと、この世を去る日まで努力をし続けました。その前提には、真実は私たちとは別に、この世の中にあるということ、そしてそれを一つ一つ発見していくことが、物理学者としての仕事であると信じていたからです。

アインシュタインが相対性理論を発見してまもなく、quantum mechanics theoryクウォンタム メカニックスというのが発表されました。アインシュタインはこの理論を最後まで受け入れられませんでした。その理由は、この理論によると、観察されるもの、例えば、物体の動きは、観察者を定義することによって、決定するというのです。何ですって?観察者を定義しないと、観察されるものはないのでしょうか。

アインシュタインの基礎前提は、「現実は自分の外に、独立して存在する」というものです。Quantum mechanics theoryによって、その現実が、自分の主観の定義に基づくものであるというならば、彼が発見した相対性理論は、自らの想像でしかないという可能性が出てくるではないですか。このような理屈は、彼は最後まで受け入れませんでした。

でも、心理学では、主観が現実を決定するということは、ごく当たり前と言ってよいくらい、受け入れられています。あなたの存在は、私によって生まれてきますし、私の存在は、あなたが作り上げるものです。あなたの主観と私の主観が合体し、第3の主観を作り上げ、そこにユニークな現実を作り上げるということは、かなり常識化した心理学の知識です。

アインシュタインの相対性理論は、宇宙の現実を説明するもので、その規則がそこに存在するのでしょうか。それとも、アインシュタインが相対性的に考えることが、宇宙を理解するのに便利だからでしょうか。それとも、アインシュタインの相対性的考えが、私達の知る宇宙を作り上げたのでしょうか。更に、何年か後に、次の天才が、宇宙の原理をもっとよく説明する公式を考え出し、私達の宇宙のイメージがまた変わるのでしょうか。