産後の安静&養生

| コメント(0) | トラックバック(0)

「アメリカで出産し入院期間が短く、産後の安静がほとんどとれなかった」というメールをもらって、7年前のことを思い出しました。

それは、木村看護教育振興財団からの派遣で、日本人11人(内1人は私費)で、ミネソタ州のメーヨーの病院見学を4週間経験した時のことです。最後に感想を語り合う会で、多くの仲間が「お産の翌日、車椅子に乗せられて、青白い顔で家に帰って行くお母さん達の姿を見た時、これではあまりにも可哀想。家で赤ちゃんを可愛いがれるとは思えない」と、異口同音に語り合いました。

私のことを話せば、少なくとも一人目は随分安静にしていました。それは私の母が口うるさくそうさせたからです。母は大正2年(1913年)、北陸の生まれで、生きていれば85歳。私が長男を出産した時、「字を見るな」、「柿を食べるな、体が冷えて体調が狂う」、「おとなしく寝てないと体にガタが来て、もう一人生んで養生するまでは治らん」など・・・、助産婦として3年目の私には「そんなのは迷信や」と言いたい反面、実例をあげて説教する母には反論はできず、昔から語りつがれていることに対して「掟破り」のようなことをする勇気もなく、おとなしくしていたものです。こんなことを書こうという気持ちにさせてくれたメールをご紹介します。


【香港のCさんのメールより】

中国では産後の体のトラブルはほぼ産後一ヶ月の間、しっかりと休んでいなかったからといわれます。たとえば手を冷たい水につけてはいけないとか、風に当たったらいけないとか、なるべく横になったほうがよいとか、そういう事がとても大事に言われますが、どう思いますでしょうか?結構退院してからみんなすぐに外出したりしますよね。また次の子を出産して、しっかりと休んでいたら、前回の不快なども消えるといわれます。そういう言い方もただしいでしょうか?(実際そういう人がいます)

「中国も日本と同じなんや!」と、ビックリ。今の私は中国や日本で語り継がれてきたことは正しいと思っています。

「なるべく横になったほうが良い」と言うのは、骨盤の安静と回復に重要であり、「手を冷たい水につけてはいけないとか、風に当たったらいけない」と言うのは、関節や筋肉の血行を悪化させ、痛みを増強させたり、乳房のトラブルの原因となると思います。

また、産後の若い女性に対して、先輩の女性が厳しく安静を言いつけるのは「せめて産後くらいは働かせまい」と、女性が元気に生涯を送るための智恵として「掟」のように堅持し続けられたのではないかと思います。だって、女性が堂々とゆっくり休めるのは、産後しかなかった時代って長かったでしょう?

また次の子を出産して、しっかりと休んでいたら、前回の不快なども消えると言うのも、ある程度当たっています。妊娠のために靭帯がゆるみ、骨盤内に児頭が入り込んで、骨盤の歪みが自然に矯正され、その後安静にすると骨盤がきれいなまま安定するため、腰痛がなくなることがあります。それにともなって背骨もきれいになり、痛みやコリがなくなり、自律神経や内臓の働きも改善する人もあります。

となると、産後の安静=養生はとても大切なのに、最近は中国でも日本でも「掟破り」が横行しています。核家族化のためだけでなく、病院での行きすぎた早期歩行、「昔からの言い伝えは科学的根拠のない迷信」のように言う医師・助産婦が増えてきたことや、高齢者の発言権が弱くなっていることも原因と思います。骨盤や背骨の働きを認識している職業人がまだまだ少ないのが、私にはとても残念です。
日本や中国も今はこのような状態ですが、まだ、産後の入院期間は5〜6日が普通で、その間は少なくとも上げ膳据え膳です。アメリカのように出産の翌日または翌々日に退院し、新生児はもちろん上の子まで面倒見ながら、家事一切をしなければならないなんてことはありませんね。

日本でも産後2時間程度で歩行させる病院もあれば、こんな助産院もあるんです。ご紹介しましょう。


【石川県の頼助産院、頼 玲瑛 院長のメールより】 

この仕事をしていると、とかく腰痛の方に出会います。ほとんどが、病院分娩の後の方で、分娩方法にも関連はあるとも思いますし、産後の母体への手当て? 院内での動線の長さ、産後の骨盤復古への理解の少なさなど。。。

 経験的にこれはどうも??と言う方に、このベルト(トコちゃん)は、骨盤を固定するのに適していると考えて、利用しています。 私は、助産院でお産のお手伝いをしていますが、産後は安静を新たに再認識しています。もちろん母乳育児を勧める為には、当たり前のこととして母児同室です。不要に歩くことなく、赤ちゃんがぐずぐず言っても、顔を横に向けて起き上がらなくても様子を見れるように、畳の部屋で、布団のお部屋にしています。

こんな産後の過ごし方が私の理想なんですが、皆さんいかがですか?皆さんの国ではどうなのしょうか? 欧米では産後の安静を説いていた時代はあったのでしょうか?「欧米人が産後の安静をとっていないことと、中高年者の車椅子生活者が、日本人より欧米人の方が多いことは関連あるのでは?」 と、私は思っているのですが、いかがでしょうか?

アメリカ人は日本人より体力があると言われますが、私は反対のように思うのです。メーヨーと交換で来られたナースを、3年間にわたって20人ほど京都観光案内をしたことがあります。清水寺とかを歩くと、途中で膝が痛いと言って立ち止まったり、ヘトヘトになって座り込んでしまう人が半数ほどありました。現役の30代を中心としたナースですよ! とにかく全員、歩くのが遅いので、金閣寺・竜安寺を見たいと言われても回れないのです。病院でも同じです。日本の病院で見る看護婦はサッサと歩いているのが当たり前ですが、アメリカ人はタラーリ、タラーリ。「いつになったら仕事が終わるんだろう?」という感じでした。

それでも、アメリカ人が日本人より体力があると思ったことがありました。それは、1日の仕事(見学)が終わった後、ミシシッピー川下りとディナーを楽しむ催しがあった時のこと、日本人は夜10時頃にはクタクタなのに、アメリカ人は元気におしゃべりして笑っているんです。ようやくベッドに入って6時間後には病棟へ。朝の仕事の始まりは夜明けと同時なので、眠くて眠くてやっとの思いなのに、アメリカ人はいつもの通り元気なのでさらにビックリしました。もしかしたら、体力を発揮する領域が違うのかも知れませんね?

更年期頃になってから「体のガタ」が来ることは次回書きたいと思います。日本人とアメリカ人との体力の違いについてもまた考えてみましょう。体験やご意見のメールをお待ちしています。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.sweetnet.com/mt/mt-tb.cgi/82

コメントする

最近のブログ記事