ブロイラー・チキンの過酷な短い一生

おとといの晩は、夫も不在だし夕飯を作るのが面倒なので、アメフトの練習場に息子達を迎えに行った後、夕食はケンタッキーフライドチキン(KFC−アメリカでは、フルネームでは呼ばず、大抵ケーエフシーと呼びます)で済ますことにしました。そして、今日、偶然見つけたホームページを読んで「うわー、もうKFCは食べたくない!」と心底思いました。

もう10数年も前から、牛、豚、鶏などの家畜に対する虐待は問題になっていましたが、2003年に動物愛護協会(PETA)が、隠し撮りしたKFC下請け養鶏所の公開ビデオを見て慄然としました。気持ち悪くなりました。

http://www.kentuckyfriedcruelty.com./index.asp  icon-TV.gif (89 バイト)マークをクリックするとビデオが見られます。
注)心臓の弱い方、気の弱い方、すぐ吐き気がする方、悪夢を見やすい方、妊娠中の方はご覧にならない方がいいです。)

ここでは、KFCのみが取り上げられていますが、大方のブロイラーチキンは、五十歩八歩の劣悪な環境で育てられているそうです。

列挙すると

○鶏は、普通平均84日で成長しますが、ブロイラーは45日で成長させられます。その結果、90%の鶏は骨がもろく足に異常を来たしているという報告があります。特に、昨今の健康志向ブーム、そして狂牛病の影響で、チキンの消費量が急増したために、生産性を上げるため、鶏は、すし詰め状態にされ、過酷な状態に置かれています。

niwatori.jpg (5605 バイト)○鶏は、つつきあうことによってグループ内での社会的な優劣を形成するという本能がありますが、狭い養鶏所に身動きできないほど詰め込まれて育つブロイラーチキンが、それをすると商品価値がなくなってしまうために、ひよこの時に嘴を切り落とされてしまいます。(日本の場合は、これはしていないかもしれませんが、調べた限りでは、わかりませんでした。)

○卵を産むための雌鳥は、ホルモンの関係で2〜4カ月間休産し、その間、古い羽毛が抜け落ちて新しい羽毛に換わります。そして、また卵を産み始めるわけですが、産卵量を増やすために、雌鳥に長期間絶食させて強制的に羽を抜け替わらせ(強制換羽)、産卵量を引き上げます。その間に、飢え死にしたりショックで死んでしまう鶏もいます。

○嘴を切り取ったり強制換羽した鶏は当然体が弱り病気にかかりやすいため、大量の抗生物質が投与されます。最近、人間界でも、抗生物質の過剰使用によって、耐性菌という抗生物質の効かない強力な菌が出現し、更に強力な抗生物質を作らなければならない、という悪循環が起きていますが、家畜に与えられた抗生物質が食物連鎖で人間の口に入ることで、同様のことが起こります。

1990年代後半から、日米ともに、治りにくく、繰り返す中耳炎(難治性反復性中耳炎)が、増加しているそうです。生後5ヵ月〜2歳ぐらいまでの乳幼児に多く、抗生剤では効果がなかったり、薬を中止するとすぐ再発するそうです。

niwatori2.jpg (11727 バイト)今回はチキンだけを取り上げましたが、上記に紹介したサイトでは食肉牛、豚の置かれた劣悪な環境、残酷な屠殺風景がビデオに入っています。(今、狂牛病で秒問題になっているアメリカの牛ですが、このビデオでは歩けなくなった牛も豚も、息絶えていない限り生かされて屠殺される場面があります。特に、へたり牛はハンバーガー用の肉に回されることが多いそうです。)しばらくは、肉という肉は、食べたくなくなってしまいました。

日本の養鶏所に関しては、今回この記事を書くにあたって日本の養鶏関係のサイトをいくつか見ましたが、強制換羽は一般的に行われています。また抗生物質や成長ホルモンの投与も行われているようです。また、採卵ようの鶏が羽も広げられない狭いケージに一生閉じ込められていたり、食肉用の鶏が身動きもできないほどいっぱいに飼われている写真もありました。(左の写真は日本の養鶏所、上の写真はアメリカの養鶏所)

             ブロイラー       放し飼い/抗生物質無投与
 
肉の色目        白っぽい          自然色
            厚く脂身が多い       薄くて弾力がある 
脂肪           黄色っぽい       白っぽく少ない


 ブロイラー特有の臭みは肉骨粉をはじめとする動物性再生飼料が含まれていることが原因の一つだそうです。

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牛乳と肉に大量投与されている遺伝子組み換えホルモンについて

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最近アメリカの一般のスーパーでもオーガニック・コーナーを設けている所が多くなってきました。オーガニック牛乳も、数年前に較べると随分手軽に手に入るようになりました。オーガニック牛乳の箱には、大抵、以下のような記述があります。

“This milk was produced without the use of (GROWTH) HORMONES, ANTIBIOTICS or PESTICIDES.”

つまり、こう表示されているオーガニック乳製品以外の、乳製品には、ほとんど全てに(growth) HORMONES,ANTIBIOTICS 、 PESTICIDES が含まれているということですが、それは一切表示されていません。ですので、知らずに、これらのものを体に取り込んでいる人もかなりいいるはずです。

dairy.jpg (2670 バイト)今回のトピックは、乳牛に投与されている“growth hormone”「成長ホルモン」、その中でも問題視されているgenetically engineered rBGH (Recombinant Bovine Growth Hormone). 遺伝子組み換えによって作られた通称rBGHホルモン(ヨーロッパでは、このホルモンには発がん性があると言われている)についてです。

このホルモンは、牛乳の生産量を著しく増加させる(通常の10%〜40%)ホルモンとして米国化学メーカーのモンサント社(Monsanto Corporation)によって開発され、アメリカでは1993年に承認され、あっと言う間にアメリカの多くの乳牛に投与されることになりました。そのようにして量産された乳製品は、今、バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど様々な形をとって私達の口から入って来ていることになります。

カナダでは、過去8年以上に渡って検討の末、1999年にrbSTを認可しないことに決めました。カナダの研究では、ホルモン自体の人体に対する影響への懸念もさることながら、ホルモン投与により、牛の乳腺炎をはじめとする乳房の感染が増加し、その感染を防ぐために抗生物質が多用されることになり、その結果ミルクに抗生物質が残留し、それを飲んだ人間にも当然悪影響があるとしています。

このようなホルモン投与は乳牛だけではありません。アメリカでは食肉牛にも、その成長を促す3種類の天然ホルモン、3種類の合成ホルモン、合計6種類のホルモン使用が許可されており、ほとんどの牛に投与されています。(オーストラリアでは5種類、カナダでは3種類、日本では4種類が認可されており、EUでは一切認められていない。)

もちろんアメリカでは、このようなホルモン剤は人体に害はない、安全だと証明されたからFDAによって認可されたわけですが、カナダそしてEU諸国では、全く反対の見解を取っており、このホルモン剤の安全性を一切認めておらず、よってこれらのホルモン剤を投与されたアメリカの乳製品、食肉の輸入を1985年以来一切認めていないという事実は消費者として重視するに値する問題だと思います。

このような両サイドの見解の違いは「ホルモン戦争」と呼ばれるまでに発展しています。それは、EUへの輸出をしたいアメリカがEUの輸入禁止措置が「科学的根拠に乏しくSPS協定に違反している」と提訴し、それを受けてEUはさらに、科学的根拠を示した上で1999年にアメリカ産牛肉の全面禁止措置をとり、両者の争いが過熱したからです。

イタリアやプエルトリコ、フランスではホルモンの残留する牛肉を食べた幼児に乳房が大きくなったり、体毛が生えたり、初潮の始まりが報告されています。アメリカでも、近年、初潮の始まる時期が非常に早くなってきており、ホルモンの影響ではないかと巷では囁かれています。ただ、そのような懸念が即、ホルモンの使用禁止につながるわけではなく、冒頭に述べたように疑念を抱く人はオーガニックという選択肢を取るようになってきているわけです。

これは、まさにアメリカ人の健康に対する意識を表していると私は思います。日本のように毎日、どこかの番組で「健康に良い食べ物」の特集をして、全国の主婦がその日の夕方には、その食材を求めてお店に走るという滑稽なほどの日本列島ヘルス志向に比べ、アメリカでは、徹底的にヘルス志向で、食材にこだわり、ジムで汗水流して健康維持に余念のないグループと、まったく健康に無頓着でジャンク・フードやファースト・フードを食べまくるグループに、かなりはっきりと分かれます。このような無頓着集団は、金儲けさえできれば国民の健康なんてどうでもいいと考えている企業の良い餌食と言ってもいいでしょう。


dancingcow.gif (780 バイト)ちなみに肥育用ホルモンの作用です

1)性質が温和になり集団飼育が容易になる
2)成長が早まり飼料の節約できる
3)肉質が柔らかくなる
4)肉の量が増加する

EUでは、先にも述べたようにホルモンに関しては非常に慎重な姿勢を取っており、天然型ホルモンも合成型ホルモンも禁止しています。日本では以前は、天然型ホルモンは自然界に存在するので問題がないとして認められ、合成型ホルモンは禁止されていましたが、1995年の食品衛生調査会の答申で、「低用量であれば問題なし」ということで残留基準地をクリアしていればOKということで認可され、アメリカ産牛肉が輸入されているわけです。

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