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子どもの成長と英語教育

NYこどもの国幼稚園
園長早津くに子さん

1981年に日本人の子ども達のために幼稚園を設立されて以来、異文化、異言語の中で育つ子ども達を見つめ続けてきた早津先生にバイリンガル教育に関してご執筆いただきました。

1981年 NY「こどもの国幼稚園」を設立
1994年 NY州認可「学校法人こどものくに」となる

はじめに

2002年度の新学期を迎えるまであとわずかになりました。総合学習の中で子ども達が取り組むであろう授業を英語にする学校は全国で圧倒的なパーセンテージを占めるのでしょうか。新聞などで『英語教育が始まる」との大きな見出しを見てから、子ども達の環境が変わったように思います。日本国内もここニューヨークも。日本の子ども達の日本語力の低下を嘆く一方で,英語の渦に巻き込まれてしまい、今この子に英語環境を与えなければ親として一生の不覚、とばかりの勢いです。

『日本国内では英語の先生がいる幼稚園でなければ人気がない』
『ニューヨークではせっかくアメリカに来たのだから現地校に』

子どもが小さいうちに言葉もひっくるめた異文化環境に触れるのはとてもいいことだと思います。人種をこえて人とコミニケーション出来るスキルを自然に身に付けることが出来るからです。ただ、ここで注意しなければならないのは、異文化環境と英語環境は異質の物だということです。赤ちゃんのうちから英語環境をつくってやれば、自然に英語を憶えて将来はバイリンガルになると勘違いしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 

こどもの発達のルール

人が人として成長する過程は,見事なほど発達のルールに基づいて成長していきます。人間だけが世話をしてもらわなければ生き延びられない無力な状態で産まれてくるのです。唯一お母さんのおなかの中にいる間に備え持った触覚と聴覚を武器にしてこの世に誕生してきます。

スキンシップや語りかけが赤ちゃんが人として育つ基本条件になっているのは、生後間もない赤ちゃんのコミニケーションしたいという生理的な欲求に答えてあげるためです。赤ちゃんがお母さんの顔をじっと見つめているだけで、その欲求を赤ちゃんの表情から読み取り、あやしたりおっぱいを飲ませたりしているうちに、赤ちゃんとの信頼関係が出来ていきます。この欲求に十分答えてあげないと、表情豊かな子どもに育っていかなかったり、ひいては思春期のつまづきの原因にもなります。

赤ちゃんの聴覚神経は受胎後2ヶ月くらいから出来始め,お母さんの声にとても敏感なのは,おなかの中でお母さんの声を聞いていたからです。人間の声に敏感に反応する機能が生後すぐに働き出す所以です。この機能はどんな国の言葉でも受け入れ、真似る天才の乳幼児はそのままの発音を発しますから、『英語教育は早ければ早いほうが良い』との信仰にも似た気持ちになるのは無理からぬことです。

 

コミュニケーション能力の発達に必要な「夢中になって遊ぶ」こと

人の一生を支えるいろんな機能、― 感性、基本的運動能力(危険を察知して自分の身を守るー飛んできたボールをよけるなど),コミニケーション能力などは、乳幼児期に幼児自身が体得しておかなければならない重要な課題です。そして、これらの機能は大人が教えることの出来ないものでもあります。

日々の生活や親子の遊びの中で、また幼稚園や保育園の中で子ども同志の遊びやけんかなどで培われていくものです。『夢中になって遊ぶ』という体験を言葉のわからない世界で出来るものでしょうか。

ニューヨーク近郊で英語のナーサリーに入れる年齢が以前より早くなっています。その理由は何もわからないうちから英語環境に入れておけば抵抗なく集団生活が送れるから、との見解です。確かに1歳の何もわからないように見えるうちは、周囲に向けられる抵抗はないかもしれません。そして、環境を丸ごと受け入れていくのもこの時代です。言うまでもなく乳幼児の心身の発達は、見えない子どもの内面で着実に行われているのです。発達のルールに従いながら!

成長の停滞期間

子どもの生活の一部を異言語で過ごすということは、異言語を獲得するまでは成長発達を遂げつづける過程に空白が出来るということになります。(私はこの空白を成長の停滞期間と呼んでいます)自分で深く思考でき、行動できる学齢期中期以降の停滞期間は、子ども自身が割合早く取り戻していきますが、年齢が低ければ低いほど、人として持ち合わせていなければならない大切な要素を落としてしまいがちです。特にコミニケーション能力の分野で、道具ととしての言葉が違うわけですから、道具の使い分けがうまく出来ないで混乱がおこリます。その混乱を親に向けられる子どもはいいのですが、暴力という形で友達に向けられたり,自分の殻に閉じこもるという一番かわいそうな方法で自分を守っていく子ども達がいます。幼児期は親または養育者の庇護のもとにはじめて健康な生活が送れるのであって、一人で世界に出て行くには余りにも非力な存在であるという認識を深めて欲しいと思います。英語集団に入れるからには,親子もろとも入り,母国語で空白の部分を埋めていってあげる作業が必要になります。日本国内での子育ての2倍も3倍もの努力をしても、未だ十分ではないと思ってください。

子どもにとって『いい子ども集団とは』どんなところなのでしょう

笑顔がいっぱい。毎日幼稚園(保育園)にいきたがる。先生が大好き。遊びたいことがいっぱいある。友達に会いたい。など、それぞれ理由はあるでしょう。

一言でいえば、子どもにとって楽しい集団なのです。子どもは一人一人違いますから,興味関心も皆違います。いかに一人一人の欲求を受け止め、集団に返していけるか,即ち、個々の関心ごとをみんなの関心ごとにしていけるかが,楽しい集団作りの要になります。年齢と共に一人で遊ぶのはつまらなくなり、〜ちゃんと遊びたい、〜ちゃんも〜ちゃんも一緒!と毎日のようにいって困ります。とよく聞きます。

例えば子どものごっこ遊びを見てみましょう。お母さんごっこやお店屋さんごっこなど、自分が経験したことを土台にして各自の役割を演じています。年少ではその役になることで満足感がありますが、年中の後半頃からごっこ遊びに使う道具を作ったり,役割を意識して人との関係や状況を遊びの中に取り入れていきます。子どもは毎日毎日同じような遊びを繰り返し、遊びの世界でさまざまな機能を使っていくうちに,未分化なものが分化し、ルールが見えてき,多様な経験を子ども自ら整理して生きる力を獲得していきます。非効率的に見える遊びは,子どもの自律を大きく伸ばし、親が知らないうちにいろんなことが出来る自信を身につけ、その自信はリーダーシップや学力の向上にも力を発揮していきます。

外国で生活する場合、日本語を選べる地域では、出来るだけ楽しい子ども集団を送るためにも日本語集団の選択をして欲しいと思います。

日本語環境がない地域では子どもだけを早くから異文化,異言語の環境に入れないで、ペアレンティングクラス(親子で遊ぶクラス)などで,母子共に異文化適応を徐々にしていき,一方では日本語の会話の充実や絵本読みを続けるなど、日本語で順序だてて話が出来るよう援助してあげましょう。

また、日本国内では英語のテープを流しつづけるなど、英語漬けにするような環境は絶対作らないで欲しいと願っています。すでに、そのような環境で育ってしまった子ども達が、発育不全のため特別な援助を受けなければならないケースが増えています。

自分でしっかり物事に対処したり、考えを伝えられる子育てを目指し、異文化環境も整えていく姿勢があれば、健全な英語習得ができるといえます。

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「こどものくに幼稚園」の先輩ママ達が幼稚園25周年を記念して発行した本です。「海外で幼児期を過ごすには」「NYの子育てで困ったこと悩んだこと」「子育てで配慮したこと」「海外体験の影響」「帰国後の適応」など、さまざまな体験記やアンケート調査結果が収録されていて、これから海外に行かれる方には、非常に役立つ1冊。

【購入方法】

1.アメリカ国内:  こどものくに幼稚園へ直接申しこむ   
FAX:914−949−0247
E-mail: kk@kodomony.org
価格 送料込み1冊12ドル

2.日本国内:    取り扱い代理店「だるまちゃんの店」  
Tel.: (03)3379−9533
店頭価格 税込み1冊1000円





英語スクールの選択
Tomoe Nouchi

うちの娘はまもなく4歳になるのですが、現在日本のインターのキンダーにおります。しかし父がアメリカ人とはいえ、生活している場が日本だと英語を教えるのも本当に大変です。英語を話すレベルを維持して行く事も大変ですが、それ以上に勉強が大変です。日本国内にはたくさんの幼児教育(塾や通信など)ありますが、どれも日本語で教えるものばかり・・・。

もうかなりいろいろ調べて悩んでいた時に江戸川区にあるメリーインターを見つけました!現在週2日 アフタースクールに入っていて、ライティングなどをしっかりやってくれるレッスンと算数や科学をやるレッスンを二つとっています。(ちなみにどちらも先生は外国人で言語は英語です)2時間じっくり行うし、実験や道具をいろいろ使うのでかなりしっかり覚えて帰ってきます。サマースクールなどアメリカに帰ったときは現地のプリに入れているのですが、2歳でも充分文字を書いたり出来ているので、ことに言語の事になると全然遅れているな〜と実感させられていました。だから結局日本にいるとかなりのフォローが必要になってくるんですよね・・・。

バイリンガル教育を目指している方はたくさんいると思うのですが、ただたくさん英語スクールに入れても、レベルのあったところ、また自分の望む教育内容であることを検討して入れられた方がいいと思います。また何か良い情報があればお知らせします〜。

 

突然話さなくなった息子
 
 しん
(アドバイスある方はQ&A専用掲示板#8013にアドバイスください。)

初めてお便りします。子供のことで、御相談したくてお便りしています。三才8ヶ月と、一歳7ヶ月の息子がいます。じつは、長男が 急に話さなくなってしまいました。 主人は、台湾人で、私は、日本人で、現在、アフリカ(フランス語圏)に住んで8ヶ月ですが、この夏、台湾と、日本にそれぞれ、一ヶ月ずつ休暇で戻りました。その間、驚いた事に 長男は 私以外の人には まったく話さずじまいで、休暇の最後には、私にさえ、一言も話さなくなってしまいました。アフリカにもどって10日ですが 今も ”ママ”さえもいいません。 アフリカに来る前は、台湾に暮らしており、私は徹底して 日本語で話しかけ、パパは中国語で話していました。 今までは 長男は 私や日本の家族には、日本語で パパやおばあちゃんには中国語で 話していました。確かに 言葉の出は遅く、(2歳半くらい) 同じ3歳とくらべると、中国語は特に語彙が少なかったのですが、余り気にはしていませんでした。

こうなった原因は やはり言語の混乱のせいだろう、とはおもうのですが、もしかすると、言葉に対する自信を失わせるような事を 私や周りの人が いってしまったのかも、と反省しています。 また、環境の配慮などせず、無鉄砲に現地のフランス語幼稚園に しばらく入れた事なども 子供にとっては大きな負担だったのでしょうか。表向きには 幼稚園で友達もでき、フランス語をはなしだしていたので、子供ってスゴイなー、なんて、呑気に 構えていたんです。 でも、本当は子供なりにいろいろなストレスをかかえていたのでしょう。

いろんな方に相談したところ、日本と違い、ヨーロッパやこちらでは多国言語の環境で育った人も多いせいか 同じように 話さなくなった例を いくつも聞かされ、いつかは必ず又、はなしだすよ、と励まされました。しかし このまま日本語と中国語の両方で育てつづける場合、5歳や6歳まで 言葉を話さないこともある、ともいわれました。

また、専門家の著書などを読んで 初めて気がついたのですが、母国語が定着しないうちに、また、違う言語環境にほうり込んだことが大きな間違いで、内気な性格もあり、辛い事を表に出せずにいたのかもしれない、と 全く子供に申し訳ない気持ちでいっぱいです。今は できるだけ一緒にあそんでやったり、日本語を守るように絵本をよんでやったりしています。 気になるのは、本当は言える事、(好きな列車の名前など)簡単な単語さえも わざと言わずに口をつぐんでいることです。

弟の言葉をまねたりよくしだし、はしゃいでいるとき大笑いして言葉が飛び出す事もあります。児童精神科医や言語のリハビリなども 考えましたが、そうすると事が 深刻になりそうで、子供が 余計に敏感に感じとっては、と思い、今はもう少し様子を見たい、と思っています。なにか、おなじような体験やアドバイスなどあれば、ぜひ、ぜひ教えていただきたいです。

パパのバイリンガルアイディア

動線上に文字表を置いて効果あり

「バイリンガル教育」を非常に興味深く読ませていただきました。我が家では、私が日本人、妻がタイ人で、娘は3歳になったばかりで、日本語のおしゃべりはわずかで遅い方ですが、やっと最近タイ語にも興味を持つようになり、少しほっとしました。

タイ語が発音できるようになれば、中間母音の多いフランス語も、アクセントがうるさい英語も、だいたい問題なくしゃべる可能性が出てくるからです。妻は日本語が達者で、ほぼ日本語だけでいまのところ家庭ではやっているのですが、どのようにして数か国語を修得させるかは段段重大な問題となってきています。

 私が試みてとりあえず効果があったのは、アルファベット、あいうえお、タイ語の母音・子音文字表を、2歳の娘の生活の動線上(つまり居間から台所、トイレから廊下とか一番動くライン)の見えるところに貼り、いやおうでも娘の興味をひくようにしたことです。同時に勉強という言葉は一切使わず、遊び,遊び、と思いつつ、冗談半分に妻に「台所から居間を行ったり、来たりするうちにタイ語覚えちゃうね」言って、自分でも半信半疑だったのですが、ほんとに妻が困るくらいにタイ語の発音をうるさく尋ねるようになりました。タイの知識人の英語レベルは日本人よりも上なので、とりあえずこれで最初の小さな難関を突破しました。

 ベルギーに4年、フランスに1年生活し、多国語を話す人達を数多く見てきたので、どのように言語を教えるかについてはある程度それなりに考えていたのですが、いざ実践となると結構戸惑うことがあり、「バイリンガル教育」等の記事は大変参考になり、これからもしばしば読むつもりです。とくに我が家では、私があまり好きではない、読めても流暢にしゃべれない、聞き取れない英語をどのように娘に教えるかが最大の課題となってきます。

YAMANOUCHI

親の思い通りこどもはそだたないものですね

私の息子はアメリカ生まれでアメリカ育ちの11歳です。母親が私日本人で、父親はアメリカ人です。でも彼が2歳の時に離婚してそれ以降一人で子育てをしています。彼にはアメリカで将来勝負をしていくので英語を強くさせようと敢えて日本人補習校には入れませんでした。日本語は簡単な読み書きと簡単な会話が出来ればいいという考え方で私が家庭内で彼に日本語で話し掛けていました。
ところが!!

息子は現在英語よりも日本語の方が得意になってしまい、ひらがな、カタカナ、中学生レベルの漢字、会話などほぼ完璧に近い形で習得し映画の字幕など問題なく読み取ってしまいます。私は特に教えたわけでもないのですが彼はロールプレインゲームが大好きでそのゲームしたさに必死になってあいうえお帳を見ながら勉強したらしいのです。(我が家のゲームは私もやるので全て日本語です。)そして難しいロールプレインゲームになると漢字がかなり入って攻略本なども日本から取り寄せて読んだりしているので漢字もかなり難しいのまで読むことが出来ます。また本も英語の本など全然読まずいつも日本語の本ばっかり読んでます。

それはそれでいいのですが、肝心な英語の方がさっぱりダメで学校でも英語の読解力表現力が劣ってるとされLDと判断されてしまいました。私は日本語の方が強いからと説明しても3歳まで言葉が繋がって出てこなかったということでLD(学習障害)と判断されIEPを受けさせられています。まあ確かに英語能力はネイテブの子供に比べ単語の量その他かなり劣っているのでIEPであれなんであれ彼の英語力のアップに繋がれば・・・・・と思っています。

皆さんのアメリカに来て半年足らずで会話が英語になったと言う話を聞くとホントに羨ましいです。会話の方は何も問題がないみたいなのですが宿題する時も時々問題の意味がわからず日本語の辞書を引く始末です。去年ためしに日本の小学校に体験入学したときもアメリカの学校よりも良く解って面白かったっていわれてがっかりしました。

私が一人アメリカに残って子供の教育の現場をアメリカにしようと頑張ってきたのは彼を国際人に育てたかったからです。日本人との付き合いも極力避けアメリカ人に溶け込み彼の友達も全部アメリカ人なのになぜ?これからミドル、ハイスクールと進級していく中で英語力の遅れは深刻な問題です。日本に帰ればどうしてそんなに日本語が上手なの?と驚かれます。(顔が完全にアメリカ人よりのハーフなので)日本語上手はいいけど英語が下手なんだよっていつも心の中で思っています。こういう子ってやっぱり将来は日本でセイン・カミュのように変な外人として生きていくのかななかなか親の思い通りこどもはそだたないものですね(溜息)


バイリンガルは難しい

こんにちわ。イタリアに住んでいます。4歳の男の子と1歳9ヶ月の女の子がいるのですが、上の男の子はことばを話すのがとても遅かったです。昨年の9月から幼稚園に行き始めてやっとセンテンスで話すようになりました。

下の娘は、イタリア語と日本語がちゃんぽんです。上の男の子は、私が日本語で話すと、イタリア語で答えます。下には、なんとか日本語を普通に覚えてほしいとおもっていますが、夫婦間でイタリア語オンリーなので、なかなか難しいと思います。

こちらには永住なので、学校もイタリア語ですから、日本の文化なども覚えてくれるように、こちらのおかあさんたちと集まって、日本の行事をする会を開きたいと思っています。バイリンガルというは、本当にむずかしいですね。

☆Mietta☆☆☆☆☆☆☆☆
☆http://web.tiscalinet.it/mietta
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語学習得と親&環境のサポートの大切さ

SweetHeart

カナダのモントリオールから、昨日、訪れた友人ルイースは私立中学でスペイン語とフランス語を教えています。モントリオールは、カナダの中のフランス語圏ケベックにあり、彼女自身の母国語はフランス語。モントリオールでは、このバイリンガルコーナーでも紹介したトロント大学の中島先生が著書「家庭で育てるバイリンガル」の書かれているエマ−ジョンが実施されています。そこで、彼女に、バイリンガルに関する話しを聞いてみました。

モントリオールでは、英語圏の子どもとフランス語圏の子どもが大体半々ということで、彼女の教える学校では、幼稚園からフランス語、英語の授業が半々に毎日行われているそうです。そして、ほとんどの子は小学校6年生になるまでに他の学科でもフランス語のみ、または英語のみの授業にしっかりとついていける程度の語学力をつけるそうです。

ルイースいわく、子どもの語学教育で大切なことは親、社会環境が、子どもの学習する言語を精神的にサポートしていることだそうです。

特に小学生以上になると親の考えが子どもに即座に反映されるので親のサポートを欠かせないそうです。たとえばモントリオールの英語圏の親達は子どもがフランス語を学ぶことに、あまり積極的でないために、小学生でフランス語学習を始めた場合、親がフランス語学習に否定的な家庭から来たこども達の学習態度は、目に見えて消極的で語学の進歩も遅々としたものだそうです。

また、彼女にフランス語とスペイン語のどちらを教える方が楽しいかと聞くと、スペイン語という答えが返ってきました。それは、フランス語は全ての子どもが義務で取らされているために、積極性に欠けるけれども、スペイン語は、選択のため、子ども達のやる気が全く違い、それが言語習得の速度にも大きく影響しているのだそうです。

これらの情報は、特に耳新しいことではないですが、こどもの語学習得には、教材やテクニックはさておき、子どもの学習環境や動機付けがいかに大切かということを物語っていると思いました。もちろん、これは語学学習のみでなく、全ての学習、スポーツ、習い事に関しても同じことだと思います。

 

『読み書き重視は、脳の言語習得の順路に反する』

by 久保

日本人はなぜ努力しているわりには、英語が上達しないのか。これは、学習のやりかたに問題があるらしい。先日、雑誌を整理していたら、見落としていた興味深い記事が目に入った。以下は、その要約。

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我々は幼いころから父母の話す日本語に接し、聞くことから言葉の習得を始める。知識や情感を担当する大脳の中で、人が言葉を聞くようになると、左脳の側頭葉の一部にある『ウェルニッケル言語野』という部位が開発され、ここに日本語の言語中枢神経が開発される。このウェルニッケイル言語野は、1ヵ所ですべての言語をつかさどるのではなく、『言語によって中枢が明確に区分けされている』ことがこれまでの研究でわかっている。

他言語を話すマルチリンガルな人の場合、この中枢が言語ごとに、いくつも明確に分かれているため、混乱なく各言語が使えるという。

つまりウェルニッケル言語野は引き出しがたくさんあるタンスのようなものだ。日本人には日本語専用の引出しが割り当てられ、英語に接すると英語専門の引き出しが作られる。ただ、この引出しは『各言語を母国語とする人達が通常に話すスピードで、数1000時間聞きこまないと開発されない』性質がある。ここで蓄積された言語情報を元に、今度は左脳全部にある『ブローカ言語野』で発音・発生の『話す』中枢がつくられていく。

となると、外国語を母国語と同じように自然に学ぶためには、まずネイティブスピーカーの話す言葉をたくさん聞いて言語中枢を育み、それから話す、読む、書くというふうに、我々が幼いころから日本語を覚えたとのと同じプロセスで進むのが理想的だということになる。つまり読み書きから始める学校などでの英語の学習方法では、「脳に新言語の中枢がいつまでも形成されず、記憶に定着しない」ことになってしまうのである。(参考文献:日経ビジネス1999年7月26日号P.42〜)

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SweetHeart

上記の内容は、アメリカの雑誌でも最近取り上げられていた。米雑誌に書かれていたことを付け加えると、外国語を習いはじめた時は、どうしても、最初のうち母国語と同じ言語中枢が働いてしまうため、なかなか外国語のセンテンスを自然に話すことはできない。

さらに、第1外国語(例:英語)を習得した後、第2外国語(例:フランス語)を習おうとした場合、学習者は第1外国語で開発した中枢を使って第2外国語を話そうとするために、例えば、英語の文法を使ってフランス語をしゃべってしまったりするという。

確かに、私が中国語を習い始めたとき、中国語で何か言おうとすると、どうしても英語が邪魔をして勝手に口をついて出てきてしまったり(特にパニック状態の時)、中国語の先生にもさんざん「英語の文法を使って中国語を話している」と注意されたものだった。

それが、突然ある時から、英語に邪魔されずに中国語が出て来る、と自分でも実感できた時があった。上記の学説によると、それが上記の『母国語とする人達が通常に話すスピードで、数1000時間聞きこんだ時』に当たっていたのかもしれない。(トロンと大学バイリンルの研究が御専門の中島先生によると日常不自由しない程度の語学力を身につけるには、約5000時間が必要。)私の場合、中国語は現地でネイティブに囲まれながら覚えたので、英語に費やした時間と比べれば、習得が格段に速かった。

もう一つ、おもしろい例がある。日本語をアメリカ人の子どもに教えていた時、一人の生徒(12歳)はフランス語を何年か習っていた子で、日本語を求めているのに、よくフランス語が口をついて出てきてしまっていた。

脳というのは、実に実に不思議である。

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